レセプトオンライン請求義務化撤回「大阪訴訟」の第1回口頭弁論が、2009年7月10日、午後1時30分より大阪地方裁判所において行われた。当会からは入澤横浜訴訟原告団幹事長と事務局が傍聴。小賀坂弁護団事務局長は弁護団席に入った。
まず大阪訴訟団長の高本大阪協会理事長が意見陳述。オンライン請求義務化省令を受け実際に廃院が始まっていると訴えた。事例として、廃院した医院から転院してきた92歳の大腸がんの患者は辞めた先生に看取ってほしかったと話していることを紹介した。
また、厚労省が示している個人情報を取り扱うガイドラインを遵守しても、最近の東大病院を始めとした医療機関からの個人情報漏洩が19753件に上ることを紹介し、オンライン請求義務化により漏洩が増える危険性を指摘。最後に開業医になるに当たり医師免許取得と保険医登録以外何が求められたかと被告に問い、オンラインに対応できないだけで開業医を辞めさせられる施策を糾弾した。
続いて大阪訴訟弁護団長である河村弁護士が、訴状の趣旨に基づき、本訴訟の意義と特徴について意見を述べた。保団連等のアンケートで約1割の開業保険医が廃業するとしており、「地域医療の崩壊をもたらすことは明らか」と指摘。医業の持つ基本的な性格を見失うことは許されてはならないと訴えた。さらに厚労省令111号による診療報酬請求方法の限定化は「医師である国民の権利に新たな制限または負担を設ける制度の新設」であるとし、本来法律事項であるべきものを省令で強行したことは「法律の留保の原則を踏みにじるもの」と述べた。
河村弁護士は続けて、オンライン請求義務化は医師が患者のプライバシー侵害に加担させられるとして、個人情報保護を義務づけられている医師に対し二律背反を強いるものと断じた。最後に被告の抗弁に対し、04年の行政訴訟法の改正により「公法上の法律関係に関する確認の訴え」が加えられた立法の趣旨を全く無視し、陳腐な行政訴訟の類型論に拘泥していると一刀両断。裁判所に対し審理を進めるよう要望した。
裁判長は被告に対し、オンライン請求義務化について進める理由など具体的な主張をするよう求め、被告は2カ月の準備期間を要求。次回、口頭弁論は9月25日となった。
神奈川県保険医新聞より抜粋
(2009年7月25日・第1765号)