2009年11月4日、横浜地方裁判所502号法廷でレセプトオンライン請求義務化撤回訴訟第2回口頭弁論が開かれた。被告は、訴状に対する答弁書で、「原告は保険医療機関か」という考えられない求釈明を提出するなどして裁判の引き延しにかかっていることから、原告団は本案件の審議に直ちに入るよう強く求めた。
当日は、平尾原告団団長、入澤同幹事長を含む12名の原告が出廷。48席ある傍聴席も満席となり裁判の関心の高さを伺わせた。
午後1時30分に第2回口頭弁論が開始。まず、原告団から田辺副理事長が、原告の意見陳述として証言台に立った。田辺氏は、オンライン請求が持つ問題点について、支払基金が示すメリットに対し、反駁する形で陳述を進めていった。
基金はオンライン請求のメリットとして受付時間の延長やレセプトの事前チェックなど5点をあげているが、運用上大きなメリットにならないと断言。電算処理に切り替えることで楽になった実感はあるが、オンラインにするメリットは感じられないとしてオンライン請求義務化反対を表明した。
続いて、「原告は保険医療機関か」という被告の求釈明を原告が回答不要としたことに対し、被告はこの求釈明を原告は立証すべきであると反論した準備書面を提出。その再反論を原告は準備書面で提出し、被告が原告に立証責任があるとする点を、行政事件訴訟制度・民事訴訟制度に関する基礎的な知識として裁判所が職権で審理・判断する事項として明確に反論した。さらに、原告側は、原告適格を争う被告の態度は訴訟遅延を目的とするものと指摘。本案件の審議に入るよう求めた。これに対し、被告は、現在省令改正を行っている最中であるとして、拒否の姿勢を示した。原告側は、「我々が問題にしているのは、オンライン請求を義務化した省令が憲法13条、22条、41条等に違反しているということだ。原告適格の問題と切り離して審議できるはずだ」と主張した。裁判長も被告が本案件に対する主張を行うよう促し、被告は2月上旬に主張すると答えた。
原告側は、2月まで期日が空くことを問題視。次回口頭弁論で被告が出しているオンライン請求に関する「メリット」に対して反論していくこととし、12月21日(月)に同法廷で行うことを確認した。
口頭弁論終了後、場所を横浜弁護士会館に移し、報告集会を行った。集会では、弁護団から口頭弁論でのやりとりを解説。「(被告が行っている)憲法に関わらない主張は意味がない。裁判であるからには法律論で行うべき」と指摘した。
入澤幹事長は、パブリックコメントに付された省令改正案を紹介しながら、65 歳以上の高齢医師や年間レセプト3600枚以下を除外する案はすでに、前政権が調整していた内容であり、民主党の公約である「原則化」がこのままでは「義務化」となると強調した。
神奈川県保険医新聞より抜粋
(2009年11月15日・第1775号)