神奈川県保険医協会・公害環境対策部は2010年2月10日、昨年11月1日に行った第12回「米軍横須賀基地前魚類実態調査」のまとめについて、野本理事が県庁で記者会見を行った。
米軍横須賀基地前(ヴェルニー公園)での調査は1998年より年1回実施。今回の調査も鶴見川河口を比較地域として、釣り上げたマハゼを対象魚に外観異常(弯曲)、X線異常(骨曲がり)、重金属分析を行った。また、2001年以来8年ぶりに長浦)での調査も行った。
米軍横須賀基地前ではマハゼ3匹、長浦湾では17匹、鶴見川河口では13匹を対象魚とした。重金属分析は鉛、砒素、PCB、カドミウム、総水銀、TBTの6項目を可食部、内臓について分析。
調査結果は外観異常(弯曲)は無かったものの、X線異常は米軍横須賀基地前で2匹、長浦湾で4匹であった。た。米軍横須賀基地前では2006年は0匹、翌07年が3匹、08年は36匹釣れているが、今回の3匹という結果は06年、07年の状況と同様にマハゼが生息していないものと考えられる。06年、07年は12号バースの杭打ち、浚渫工事の影響が考えられた。今回も横須賀湾内のなんらかの工事の影響が考えられる。発見された異常のあるマハゼの数も07年と同様の結果となった。
重金属分析では米軍横須賀基地前は検体量が少なく、PCBの可食部で0.06ppm、鉛、総水銀は「検出せず」、他の項目は測定できなかった。PCB可食部0.06ppmは過去最低の数値。2001年以来の調査となった長浦湾では、マハゼ17匹中4匹に骨曲がりがあった。01年調査では33匹中2匹、今回は約4倍の異常が出た。
記者会見の内容は神奈川新聞、毎日新聞、赤旗が報道した。公害環境対策部では今後、調査結果を基に関係機関に環境改善の申し入れを行う予定である。
神奈川県保険医新聞より抜粋
(2010年3月5日・第1785号)