2011年1月12日、神奈川県保険医協会・横浜支部と地域医療対策部は共催で、「地域主権改革の動向と地域医療」をテーマに研究会を開催京都大学大学院・経済学研究科教授の岡田知弘氏を講師に、45名が参加した。
2010年6月策定の地域主権改革大綱には、現在法で定めている308項目528条の事項を、自治体に委任できる旨も盛り込まれている。病床数などもこの対象となっており、41の関係法を改正する一括法案として今通常国会に提出予定。岡田氏はナショナルミニマムの破壊だと警鐘を鳴らした。
また、背景には財界の強い圧力があり、03年の経団連のビジョンでは道州制導入、人口30万人程度300自治体への再編などを提言。岡田氏は、財界の狙いは外資企業誘致に向けたインフラ整備のための財源捻出だと指摘。経団連は都府県の廃止や公務員削減などで年間5.5兆円を捻出できると試算している。
岡田氏は「小さいからこそ輝く自治体」の例として、長野県栄村の住民発案のヘルパー活動を紹介。この活動で村の一人あたり老人医療費は長野県をも下回り、国保料・介護保険基準額も県内最低水準になった。住民代表が加わり税金の使い道などを協議する「地域自治組織」などを用いて、首長の権限を肥大化させる道州制ではなく、きめ細かな重層構造を作っていくことが肝要だと述べた。
神奈川県保険医新聞より抜粋
(2011年2月5日号・第1815号)