神奈川県保険医協会は2011年9月22日、「社会保障・税一体改革成案」に盛り込まれた定額上乗せ負担や共通番号制の撤回、さらに医業税制(事業税非課税、四段階税制)の存続、消費税「損税」解消―を求め国会行動を実施。中塚一宏内閣府副大臣を含む国会議員2名と懇談した。
中塚一宏・内閣府副大臣(衆・民)との懇談では主に消費税「損税」の問題、事業税非課税の存続要望で意見交換。議員は医療に関する税制問題を熟知しており、以前から医療機関の消費税「損税」は重要な問題だと認識。消費増税の場合は、医療機関の負担とならない対応が必至、消費税「損税」の解消に理解を示した。また議員は消費税増税分がほぼ財政再建に充てられることも認識し、単なる増税でなく保険料引き下げなどの負担軽減策が不可欠とした。事業税非課税の存続要望について議員は、公共性の高い医療を応益負担となる事業税の対象にするのは適切でない、非課税措置は当然で「恒久措置であるべき」とした。同時に議員は、昨年の民主党税制改正PT(当時、副座長)で非課税措置の廃止議論があったことに触れ、現在も存続危機の状況は変わらないと認識。今後も非課税措置の存続に尽力するとした。共通番号制の撤回要求については、すでに閣議決定で困難との見解を示しながらも協会の指摘した民間の二次利用の危険性や既に利用に至っている問題について、一定の理解を示した。
首藤信彦議員(衆・民)との懇談では協会から、消費税10%への引き上げで医療機関の消費税「損税」の負担は限界に達するとし「ゼロ税率」適用を要望。診療報酬に消費税課税されれば、患者だけでなく保険者も負担することになり、結果保険料に跳ね返るとし、現行でも輸出企業で行われている「戻し税」のように、医療機関が支払った消費税の還付を受けられるよう訴えた。首藤議員は「難しい問題」としながらも、還付についてはヨーロッパの実例は承知、「抜本的な改革が必要」と理解を示した。共通番号制については避けられないとの見解、「医療の分野では何が問題か」との問いかけがあったが、協会からは給付を負担の範囲内にしたいという国の意図が透けており、社会保障の『必要原則』の考え方が変質する-と訴え理解を求めた。
神奈川県保険医新聞より抜粋
(2011年10月5日号・第1837号)