神奈川県保険医協会・医療運動部会は2012年6月2日、「対論・ゼロの会~渡辺治氏と語る」を神奈川歯科大研修センター会議室で開催し、市民など132名が参加。当日は、米国リーマンショックの政財界の裏側を暴く映画“インサイド・ジョブ”も上映した。
渡辺氏は、まず、政権交代の実現は国民運動の成果と強調。その上で民主党が構造改革路線に回帰したのは、米国と財界の巻き返しと、我々運動側の力不足と説明。今後の巻き返しには、地域に根付く「9条の会」の運動を手本とし、構造改革政治に終止符を打つ福祉国家型“対案”の保持が肝要と力説した。
対談では、平尾名誉理事長がスウェーデンやデンマークの窓口負担「ゼロ」の必然性を例に、日本と欧州諸国の社会保障への国民的感覚の違いを説いた。これに渡辺氏も、日本は労働党政権の樹立がなく、歴史的背景の違いや福祉国家の経験がない点を指摘。氏は今後の日本社会の発展・方向性として、社会福祉を充実させることで国民が貯蓄を崩せる「新しい福祉国家」を確立し、景気回復・財政再建の道を歩むべきとした。
(神奈川県保険医新聞2012年6月15日号より抜粋)