報道によれば、外科系学会社会保険委員会連合は4日、厚労省から検討要請があった「外保連としての混合診療に対する見解」の取り扱いを協議。混合診療の定義が曖昧なまま議論を深めることは無理があり、むしろ「極めて危険」との認識が強く、厚労省の要請である2週間以内に64学会で構成する外保連の見解をまとめるのは困難とし、1)定義の明確化、2)従来方針と異なる新たな厚労省案の提示などの項目を盛り込んだ質問書を今週、早々、厚労省に提出する方針を決めた。また同会の出月会長は「公平な患者医療の視点を欠いた制度変更には賛成できない」との私見を述べた。
経済財政諮問会議「年内解禁」再確認
経済財政諮問会議は5日、内閣改造後の初会合で混合診療について「解禁の方向で年内に結論を得る」とし、断行に強い姿勢で臨むことを改めて確認した。
また、6日の財政制度審議会では、財務省が社会保障給付を21年間で12兆円削減する試算を提示。財政審会長は、保険診療と自由診療の組み合わせの拡大といった改革提案が「厚労省で十分議論されていない」との指摘が席上あり、「愕然とした。現実を見つめて欲しい」と強調した。
北海道医師会 高知県医師会 混合診解禁反対で決議
10月3日、北海道医師会は臨時代議員会を開催し混合診療の解禁反対など4項目を全会一致で決議した。決議項目はほかに国民皆保険の堅持、三位一体改革での医療費財源反対、消費税損税の解消等。高知県医師会も2日決議した。
株式会社参入特区 事前相談はゼロ
再生医療や遺伝子治療など先端の高度医療に限定し、構造改革特区で認められる株式会社による医療機関経営について、内閣官房が9月13日から30日まで事前相談を実施したが、相談は1件もなく、申請はない模様だ。ない場合は、解禁要望をした経団連に申請しない理由を聞くこととなっている。
【解説】 混合診療とは何か =その2= ―その罪悪 医療保険の質を低くし固定化させる 歯科の歴史にみるー
1967年、歯科では一片の局長通知により歯科で差額徴収制度が認められました。これは、歯科治療の主要部分にかかわるもので、保険の効かない治療材料の差額だけでなく、保険の効かない技術に関する差額も事実上、認める混合診療でした。既に認められていた1955年の材料差額容認通知を補強するものでした。 時代は高度経済成長期に突入し、医科では内視鏡やCTなどの新技術や新薬が、強烈な個性の故武見・日医会長の下、医療保険に導入されていきます。 一方、歯科は「ミリからミクロへ」と言われた技術革新が進み、近代医療が医療現場に導入されていく時期ですが、当時の厚生省は、保険診療の拡充・改善を放置する、差額徴収路線という歯科軽視政策をとりました。その結果、歯科医療費の割合が大幅に減少しました。1976年に差額徴収制度は廃止され一時、シェアは回復しますが、歯科の低医療費政策は一貫しており、今では調剤医療費の11.6%を下回る8.3%(02年度)となっています。 今、診療所の初診料は医科が274点で歯科180点、再診料は医科73点、歯科38点ですが、かつては、医科も歯科も点数が同じでした。 このように、混合診療は医療保険を改善させずに、低質固定化することが歴史的に実証されています。 また、当然ながら、差額分を払える富裕層と、払えない低所得者層、中間層とに分断され、「金の切れ目が医療の切れ目」となる、階層別の医療となります。 実際、歯科は差額(保険外負担)への不安が国民意識に根強く浸透しており、有病率90%に対し受診率10%でここ数十年推移しており、極端な受診抑制となっています。 高度経済成長期とは違い、不況感が強く失業率が依然と高い今、財界首脳部の主張する混合診療は、ほとんどの国民を医療から遠ざける結果をうむだけです。 |
(2004年10月13日)