厚労省 療養費への転換否定せず!!
協会・保団連は、10月実施の制限回数を超える医療の混合診療の中止を求め、9月28日、国会中央行動を実施。全国から医師・歯科医師5名、事務局25名が参加。神奈川協会より藤田理事と事務局3名が国会に赴き陳情した。
地元国会議員への陳情では、この間、緊急実施した回数超混合診療の中止を求める会員署名189名分の名簿と、リハビリやC型肝炎、通院精神療法など、治療に支障が生じるとの具体的な会員の意見を提示し問題点への理解を求めた。
必要性があっても、給付せず!歯科51年通知も廃止か?
【参 考】 中医協・平成17年度第1回医療技術評価分科会(05/4/22)議事録より
○麦谷医療課長
今までは支払基金で制限回数を超えたものについては査定されてたんですが、今度は制限回数を超えたものは患者から費用を取っていいという新しい武器ができたんですから、そこをよく考えてください。そういう新しい武器ができたということを考えていただかないと、単純に医療上必要だからいくらでもやってもいいということではなくて、診療行為は制限されてませんので何回でもやっていただきたいんですが、保険では10回まで、残りは患者さんから費用を取る、このように整理をしていただきたいと思います。 |
10月実施の7項目の回数超混合診療に関し、厚労省は回数超で全額自費となる不合理を解消すると理由づけしたのに対し、協会・保団連からは、1)医療上の必要性がないものを、患者希望で実施するのは医師の裁量権の否定ではないか、2)回数制限があるHbA1cなど113項目は、医療上の必要性から回数超の実施があり、混合診療は不適当と中医協で結論が出されている。即刻、回数制限を廃止すべきだが、医療上必要性のあるものでも保険給付はしないという立場なのかと質問。再三の追及に対し、厚労省は、回数制限の妥当性や回数そのものを「今後、検討」すると終始。「必要性のあるものは給付する」との言質は頑なに拒否し、事実上、保険給付を否定した。また、医師の裁量権と給付範囲は別とし、給付の効率性を強調した。
協会・保団連からは、この「回数制限+自費」方式による、今後の項目の拡大と回数制限の強化を現場で危険視しており、その場合に保険での治療は成り立たなくなると指摘した。
厚労省は回数超の混合診療項目の今後の拡大については、4月までは実務作業上、困難としたが、4月以降についての項目拡大は否定しなかった。
先進医療の保険導入のルール化については、混合診療への導入が3ヶ月以内とされているのに対し、保険への導入は期間など全く不明で、麦谷課長が先進技術専門家会議で、「15年間ぐらい店ざらしでもいい」と発言していることも示し、ルール化を迫った。厚労省は、一定の理解を見せた。
「療養費」化は医療制度の根本転換!―医療の保障から、医療費の補填へ
更には、日歯の9月の社保指導者研修会で厚労省の上條歯科医療官が、保険から自費切り替えの、昭和51年通知の廃止と法的整理を示唆した点について追及。谷課長補佐は、個人的な見解であり、コメントできないと返答。
重ねて協会・保団連より、来年度の法改定で、特例措置の特定療養費を廃止し、1)「患者選択同意医療」、2)「保険導入検討医療」、3)通常の医療の、3つのカテゴリーに分類されるが、前者2つは療養費なので、「療養の給付」をやめて療養費を基本とした法律の枠組みに転換する予定なのか、と質した。また、療養費になれば、盛んに病院支払いのCMを流すVISAなどが契約を結ぶことで、患者が一旦、全額用立てする必要性もない。市場拡大の圧力が、当然かかるので、「療養の給付、現物給付は守る」との約束を求めた。しかし、厚労省は昨秋の交渉とは打って変わり確約はせず、最後は「わからない」と返答した。
過日、報道された「免責制度」は、免責範囲を超えた部分を保険給付の対象とし、その7割を保険給付するもの。医療そのものを給付する「療養の給付」のままでは、想定されている1回1,000円の免責などは法的に不可能。かかった医療費の患者への補填である療養費の支給への転換が必須となる。必要な医療の保障から、費用の補填へと、医療制度の転換が準備されている模様だ。
(2005年10月7日)