商工労働部 “安全性問題” 説明不能!!
4月19日、県議会で医療特区問題が取上げられ、“疑惑”の医療の安全性について、県側は不可思議な答弁に終始、事実上、説明不能となった。
この件は商工労働委員会で河野議員(共)が追及。国会の大臣答弁と県議会答弁の食い違い及び、東大倫理委員会の承認要件である症例報告がなされていない事実を示し、県としての安全性確認の論拠を質したが、県商工労働部は、使用する医薬品に関して厚労省医政局について確認したと繰り返すのみで、バイオマスター社が医療特区で実施する脂肪由来幹細胞の組織増大術に関する安全性確認について、何ら答弁がなされなかった。
答弁の歪曲に終始 安全性は医薬品のみ!?
河野議員は、昨年6月の新産業特別委員会で、当時の課長が「医療技術の安全性は厚労省で既に確認されている」と答弁した点を問題視。
今年3月に担当者に再確認したところ、1)医薬品の使用は確立した技術なので安全性の確認は不要と国が言ったので安全性は担保されている、2)昨年4月18日に医政局総務課長に面談し、「医療行為の特例を認めるものでなく、医療主体の特例を認めること。通常の医療機関で実施できるものだ」と言った―ということだが、その内容でよいかと質した。
産業活性課長は昨年6月の特別委員会は、細胞医薬品について?自家細胞、?新生、?培養の際に加工プロセスがない場合は、安全性確認の申請が不要であると答弁したもので、厚労省の同意を得て内閣府が承認していると答弁。
河野議員は、医療行為が安全と確認されたのか、医薬品が安全確認されたのかと問い直すと、課長は細胞医薬品の確認申請が不要、との答弁に終始。
河野議員が昨年の答弁内容を読み上げ、医療行為全体について厚労省の安全性確認に言及しており、明らかに今の答弁と違っていると指摘した。
既知のリスクも未掌握 東大では要検討技術
また、国会での「安全性確認はしていない」との川崎大臣答弁を引き、そもそも医療技術の安全性を確認する仕組みを国が持っていないのになぜ安全性確認が可能なのかと質問。課長は厚労省に「既知のリスクはない、細胞医薬品の安全性と品質の確認申請は不要」といわれたと答弁。
議員は県として既知のリスクとは何かを国に具体的に聞いたり、調査をしているのかと質したが、県側からは返答がされなかった。
また局長通知で、医療特区で実施の「高度医療」は大臣の指針に従って地方公共団体が判断し、厚労大臣が指針への適合性に照らして同意するとしており、内容を判断したのは県であり、無責任すぎると追及。
更には東大倫理委員会での承認は条件つきであり、「3例の治療後、経過報告を踏まえ、治療継続の可否を検討する」いうものであり、以降、東大の倫理委員会に経過報告がされていない。このことも国会で明らかにされており、これでどうして安全なのかと追及した。
松藤部長 安全性、“必要あれば指導くる”!?
県側は「かながわバイオ産業医療特区協議会」を設置し安全性の確保をすると答弁。河野議員は協議会設置は安全性が確保されていないからこその証左だと反論。しかも当事者のバイオマスター社がこの協議会に入っており公正な運営は期待できないと迫った。
これに対し、ついに商工労働部長が答弁に立ち、1)この協議会の目的は自由診療の徹底と安全性の確保にある、2)東大倫理委員会の話は国から聞いていないと応答。河野議員が国に照会すべきだと投げかけると、部長は国、県と役割分担があり内閣府に医療特区は承認された。必要があれば国から指導があるはずだと、無責任な答弁をした。
河野議員は、国も県も安全性を確認しておらず、協議会の在り方も見直さない、安全性が確保されないまま、診療所の開設だけが進められられていると、強い危惧を表明。県側の責任を激しく指弾した。
●横浜市 開設許可を阻む事項はない 国、県に異議は唱えず
尚、協会は4月17日、医療特区での開設許可権限を持つ横浜市医療安全課に慎重な対応を要請した。市側は瑕疵要件はなく、粛々と対応するとしている。
(2006年5月1日)