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混合診療問題ニュース24 「株式会社診療所 7月29日にオープン!横浜市がバイオマスターに開設を許可!」

セルポートクリニック横浜 JR関内駅近隣

 全国初となる株式会社バイオマスターの経営による診療所開設に関し、横浜市医療安全課は6月29日、開設許可を下ろした。診療所名は、「セルポートクリニック横浜」。開業は7月29日で、関係の協議会による内覧会を20日に行なう予定だ。場所はJR関内駅に近いビル、横浜エクセレント?の2階。4床の有床診療所で6人程度のスタッフを常勤させる模様。現在、バイオマスター社はホームページで採用情報を掲載し、看護師4人(うち2人は非常勤)、受付3人、薬事担当者1人を募集している。

 この診療所は「かながわバイオ医療産業特区」、いわゆる医療特区での開設。自由診療で高度美容外科医療を専門に提供するが、臨床応用される脂肪由来幹細胞の組織増大術は、安全性の担保はこの特区に関与した行政機関のどこでも確認されていない。問題性を残したまま見切り発車となった。

 許可をした横浜市医療安全課は、今後、開業までに構造・設備に関して施設調査を予定。所管の中区福祉保健課事業企画係と一緒に立ち入り検査を行なう。また医療監視については、通常、有床診療所の場合は3年に1回だが、「年に1回実施する予定」(葛巻・市医療安全課課長)としている。

 医療特区の医療は大臣告示で安全性と倫理性に問題がないことを大前提にしているにもかかわらず、川崎厚労大臣は今年2月の国会で「安全性は確認していない」と答弁。神奈川県商工労働部の「国が安全性を確認している」との従前の県議会答弁と食い違いを見せ、3月県議会では矛盾を突かれて説明不能に陥っていた。しかも、この医療技術は、東大倫理委員会で、実施3例の事後報告を条件に一部承認したにもかかわらず、以後の報告例がないまま20症例以上を実施していたことが判明している。

“自ら規制緩和し儲ける構図”を指弾 株主、オリックスの利権にメス

サンデー毎日がトップで報道!

 このバイオマスター社は単なる1企業ではない。株主にオリックス、東大、など混合診療解禁を求めた勢力が顔を連ね、資本金は当初の1020万円から増資を重ね、3年間で約4億円と膨張している。
オリックスの宮内会長は、規制改革・民間開放推進会議議長で今や“時の人”。前身の総合規制改革会議から議長を務め、混合診療解禁、株式会社の医療機関経営を執拗に提案してきた。医療特区は03年2月の首相裁定を経て、04年に法律で定められたもの。

 この関連の件で、過日、毎日新聞記者の取材が協会になされ、週刊誌『サンデー毎日』(06年7月16日号)のトップで記事が掲載された。タイトルは「宮内オリックス会長 福井日銀総裁 村上ファンド 疑惑拡大 こいつらを証人喚問しろ! トライアングル利権を追う」。副見出しで「『株式会社病院』は規制改革メンバーが出資」とした。

 記事では、規制緩和で村上ファンドが誕生した事実をはじめ、宮内氏が自ら規制緩和をし生まれたビジネス市場に参入し儲ける構図となっている点を詳述。株式会社病院第1号のバイオマスター社の診療所も、自ら出資社となっており同じ構図だと指摘。「実験医療に国のお墨付きを与え、株式上場で医療が投機の対象となる危険性が高い」、との協会のコメントを紹介している。
オリックスと医療特区の関連について、このほかにも協会には東京新聞、週刊誌「週刊金曜日」が取材に訪れている。

セルポートクリニック横浜 管理者は東大形成外科

 株式会社診療所セルポートクリニック横浜は開設者はバイオマスター社(社長・桑名隆滋)だが、管理者は佐藤克二郎氏で東大形成外科の医師。バイオマスター社内での肩書きは取締役医療部長。営利企業役員のため東大教職員兼業規定への抵触など疑問は残る。佐藤氏は、脂肪由来幹細胞の組織増大術を開発した吉村浩太郎・東大形成外科講師と共同研究をしている間柄にある。

 (2005年7月7日)