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共通番号制と秘密保全法の根本問題 焦点は「情報は誰のものか」 情報管理・監視問題を考える市民講座を開催しました

DSC_0025.jpg 神奈川県保険医協会・医療情報部は2012年7月26日、情報管理・監視問題を考える市民講座を開催。「情報統制と監視のなかの共通番号制」をテーマに、上智大学文学部教授の田島泰彦氏が講演しました。当日は会員、市民など31名が参加しました。

 

 はじめに田島氏は、政府が導入しようとしている共通番号制と秘密保全法は、「情報は誰のものか」という根本的な問題として同じだと指摘。共通番号制と秘密保全法案が同時期に出てきた意味は、情報統制・コントロールをしたいという国など統治者の側からの政策とアプローチの表れだと強調しました。

 統治者は「情報はお上のもの」との論理のもと、情報統制・コントロールの強化を目論んでいる。しかし我々市民側は「情報は市民のもの」として対抗。情報公開の徹底や表現・報道の自由、プライバシーと自己情報コントロール権を主張してます。氏は番号制・秘密保全法の問題が「情報とは誰のものなのか」という基本的な考え方を巡る『せめぎ合い』の象徴だとしました。

 

 次に、氏は我々の生活の中で監視強化が広がっていると指摘。その代表的な仕組みが「監視カメラ」であり、広範な公安目的に主要駅や繁華街等の監視カメラが増殖。また高速道路や幹線道路でのNシステム(自動車ナンバー読取装置)も増殖していると説明しました。

 こうした監視強化を煽るように、「生活安全条例」による官民一体による地域での相互監視体制が構築されている実態を説明。監視強化の流れのなかでの共通番号制の導入は、警察利用、国内版パスポートなど、更なる監視強化のツールとして使われる危険性があると警鐘を鳴らしました。

 

 また、自公政権から民主党政権へと継承された表現規制の代表例として「秘密保全法案」を説明。これは、国の秘密のうち(1)国の安全、(2)外交、(3)公共の安全と秩序の維持―など重要なものを『特別秘密』とし、漏洩に重罰を科し、特定の取得行為や漏洩の教唆等も処罰の対象とするもの。しかし特別秘密とする具体的な基準はなく、曖昧広範な秘密保護により市民の知る権利、報道の自由が形骸化される危険性を示唆しました。

 

 最後に氏は、共通番号制や秘密保全法という情報の問題を市民が自らの権利問題として捉え、知る権利や情報公開の徹底、プライバシー権の確立のために声を上げ、「情報は市民のもの」と主張していく必要があると説きました。

 参加者からは医療・健康情報の一元化の動きと共通番号制との連動について質問。氏は、医療・健康情報という秘匿性の高い個人情報の過度な利活用は危険であり、絶対に許してはならないと主張しました。

 

= INFORMATION =

本講座は動画で視聴できます。ぜひアクセスしてください。

http://www.hoken-i.co.jp/movie/2012726.html