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2023/11/20 政策部長談話「長期収載品(特許切れオリジナル薬剤)処方時の『追加』患者負担に反対する 選定療養を乱用した巧妙な保険給付『削減策』への幻惑を警鐘する」

長期収載品(特許切れオリジナル薬剤)処方時の『追加』患者負担に反対する

選定療養を乱用した巧妙な保険給付『削減策』への幻惑を警鐘する

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

◆過去の再燃 医薬品開発の原資捻出を医療保険で企てるお門違い

 11月9日、社会保障審議会医療保険部会は、薬剤の患者負担を見直し、選定療養費制度を使い、長期収載品と後発品の「差額分」を、現行の患者負担に「追加」上乗せすることが大筋合意された。健康保険制度の趣旨や法理から見ても不思議なこの提案は年末までに結論となっている。至難と観測される予算編成の只中、巷の等閑視の下、一気呵成に制度化へ収斂する危険がある。骨太方針2023に盛られた、イノベーション推進のための薬剤の自己負担の見直しは、論理破綻、牽強付会の感が強い。2002年の健保法等の改定附則は将来にわたり7割給付の維持、つまりは患者3割負担限度を約束している。今回の提案はこれに明らかに反し、経済的理由での受診抑制を助長する。また薬剤処方を謙抑的にさせ、治療への影響も大きい。われわれは、法に背馳する財源捻出策のきらいが濃い、この企図に強く反対する。

  

◆奇異な長期収載品の薬価政策から患者負担政策への「骨太方針」の不思議な転換

 医薬品の新薬は、薬事承認され上市後、60日から90日の間に薬価基準に収載され、この特許期間が切れて、この先発品と成分が同一の後発品が販売、薬価収載となる。新薬は開発・製造コストの回収等を勘案し、薬価算定において特許期間中は新薬創出等加算が講じられ、市場実勢価格が下がっても改定の度に薬価は引き下げとはならず、当初の薬価が維持される。

 そして後発品の初出以降、新薬は長期収載品として後発品への置き換えを理由に一定ルールの下、後発品薬価を指標に薬価が段階的に引き下げられ、同一となり製薬企業は製造販売から撤退となっている。

 これが、後発品の使用80%を目標として、実施されてきた施策である。と同時に、「革新的な医薬品におけるイノベーションの評価の観点」(骨太方針2021)、「イノベーションの推進を図ること等により、医薬品産業を高い創薬力を持つ産業構造に転換する」(骨太方針2019)との政府方針の下、新薬と長期収載品にとられてきた薬価算定を通じた政策である。

 これが突如、「骨太方針2023」で、「医療保険財政の中で、こうしたイノベーションを推進するため、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進める」と、薬価政策から患者負担政策へと不思議な展開となっている。唐突感は拭えない。

  

◆目標達成にも関わらず、更なる長期収載品の薬価削減、患者転嫁が本音

 この理由は、図らずも「骨太方針2023」の中にある「後発医薬品への置換えは数量ベースで約8割に達しようとしているが、金額ベースでは約4割と諸外国と比較しても低い」、に見て取れる。後発品は数量ベースで当初目標の8割を達成し、1.6兆円(19年度)の医療費圧縮が実現したが、個々の薬価が低いため総薬剤費、金額ベースで4割程度にしかならず不満が含意されている。薬価算定ルールで新規の後発品が初収載の際、先発品の薬価に0.5を乗じ値決めされるので、数量で8割を占めても金額ベースでは半分の4割となるのは当然の帰結である。

 これを薬価算定ルールの違う諸外国と対比し、薬剤費圧縮の方策を提案したというのが本質である。新薬や後発品のない特許切れ品、基礎的な医薬品を、薬価基準から排除はできない。後発品のある長期収載品をターゲットとし、薬価を引き下げ、下げた分を患者に転嫁することにしたのである。

 

◆参照価格制度は「見せ球」、「捨て札」 法律改定不要な選定療養費活用で保険給付の「積み木崩し」

 医療保険部会では独・仏で導入されている「参照価格制度」が資料で示された。これは医薬品を薬効、有効成分、作用機序等でグループ化し、給付基準額(償還額の限度額)を決め、これを超過する薬価の医薬品の場合に、患者が超過額を負担する制度。仏国はこの限度額を後発品の平均価格に設定している。

 この制度は1999年に「日本版参照価格制度」として導入、法制化が企図され、頓挫した過去がある。また2012822日の中医協薬価専門部会でも、厚労省版提言型政策仕分けで参照価格制の導入が提案されたことを受け議論となったものの、導入反対論が保険者側も含め大勢を占め「当面、議論せず」となっている。更には、2017517日の医療保険部会でも議論となったが、健保連副会長の白川委員(当時)が、「後発品価格が高止まりし、長期的には薬剤費が不変もしくは増加してしまう」との調査研究報告を示すなど、反対、否定が各委員から多く出され、沙汰やみとなっている。

 これらはいずれも、イノベーションや、後発品の使用促進方策として提起されてきたものであり、所期目標の後発品使用量8割を達したいま導入する理由はない。制度化にあたり医薬品を「療養の給付」から「療養費の支給」へと法律改定も必須となりハードルが高い。参照価格制度は後発品との差額負担が大きいと今回の医療保険部会で意見があり、これとの比較優位で選定療養へと誘導されている。

 

◆目標も検証も不在の長期収載品の締め出し 理解不能、創薬・イノベーションになぜ連動するのか

 今回、選定療養で制度化するとしているが、根本的な疑問、技術的な疑問が多くある。

 製薬企業は先発品や後発品の各々を主軸とするもの、両者を手掛けるものと個々バラバラである。

 この間、提唱されてきた後発品への置き換えによる、イノベーション、創薬のビジネスモデルへの産業構造の転換といっても、研究開発資金がなければ不可能である。長期収載品の販売はその費用回収であり、利益はその原資としてあてられている。これを更に医療費抑制の観点で手練手管を弄して、今以上に長期収載品を市場から撤退させては創薬が難しくなり、裏表の関係で、医療需要に見合うよう後発品企業は増産体制を強いられ設備投資を重ね、破綻する危険はないのか。この根本問題がある。

 今回、医療保険部会では、エビデンスが多々口にされているが、後発品は新薬と有効成分は同一ではあるが溶解・溶質試験のみで物質同等性は担保しているが、臨床試験はしていない。基剤や添加物なども異なる。先発品と効能効果、用法用量等が違うものもある。医薬品として同一ではない。

 長期収載品の限界使用量は、後発品の使用量が8割なので1割程度とみられる。実際、「後発品不可処方箋」の割合は全体平均で10.2%であり、半数以上の薬局で23%程度(2018年一般社団法人日本保険薬局協会等「後発医薬品への変更不可に関する薬局実態調査」)でしかない。これを締め上げては逆に治療に支障が生じかねない。経済評価以外の医療現場の影響や効果等の「検証」が優先、必須である。

 

◆薬剤の「保険給付の在り方」は「入院時食事療養費」と同形 療養費体系化での保険外しの二の舞い回避を

 医療保険部会では、「長期収載品の保険給付の在り方」として論じられ、選定療養の活用が唱えられた。事後の記者レクで保険医療企画調査室長は法律改正が不要と答えている。

 しかし、選定療養は医療周辺のサービスを対象にし、「療養費」構成をとっている。これを医療のコア部分で、「療養の給付」の範疇である医薬品を、長期収載品のみをそこから外し、大臣告示のみで選定療養に組み入れるのは、あまりにも乱暴で無理筋である。保険給付の保険外しは20年前に実施された「180日超入院」しかなく、介護保険への移行を前提にしたものである。

 今回は明らかに異なり、しかも医療費の圧縮効果は限定的である。長期収載品で終わらず今後の薬剤の保険給付外し、薬剤の療養費制度化の布石の感が強い。仏国は薬剤の有用性評価に応じ、100%、65%、30%、15%、0%と5段階の保険償還制をとっており、昨今、高額医薬品が問題とされる中、懸念は強い。

 選定療養費制度は、保険給付分を療養費(金銭)で部分的に支給し、残余を「特別料金」で患者の負担とする合法的な差額徴収制度である。「特別料金」は厚労省が「相当額」とし目安を明示するが金額は任意で医療機関の裁量に委ねられる。差額分は医療機関収入であり、製薬企業の研究開発には回らない。

 大学病院等の「紹介状なし初診」の際に、特別料金7,000円が「義務」徴収とされ、保険給付分の減額が図られているが、これは健保法改定で大学病院等の紹介・連携の「責務」規定を盛り込み、荒業的に義務化を図ったものである。選定療養では長期収載品の追加負担の「金額」は固定できない。薬価改定に乗じ、既存ルールに重ねた薬価引き下げ分を差額徴収させるにしても無理がある。

 かつて1997年から6年間、薬剤の種類数に応じた薬剤別途負担が、診療報酬の包括払いと医薬分業の推進策として講じられたが、医療事務・実務が煩瑣で不評で廃止となっている。薬剤の安定供給が「前提」での選定療養費活用が今回提案されたが、現場混乱に無用な枷を課す愚は改めるべきである。

 療養の給付から外れた給食費は入院時食事療養費と体系を変え、患者の標準負担が保険給付を上回り実質7割負担、3割給付となってしまっている。今回の薬剤の保険外しの布石の将来が見てとれる。

 必要で最適な医療を保障する皆保険制度、療養の給付を崩す、長期収載品の選定療養費化に強く反対する。

2023年1120

 


 

◆後発医薬品(ジェネリック)の使用量「目標」80%をほぼ達成  (2023.9.29社保審医療保険部会資料より)

後発医薬品(ジェネリック)の使用量「目標」80%をほぼ達成.png

 

 

◆後発品への置き換えで1.6兆円削減(19年度)、直近は1.9兆円削減へ(21年度)(2023.9.29社保審医療保険部会資料より)

後発品への置き換えで1.6兆円削減(19年度)、直近は1.9兆円削減へ(21年度).png

 

 

◆長期収載品の「保険給付の見直し」の論点-選定療養費活用を提案 (2023.11.9社保審医療保険部会資料改編)

長期収載品の「保険給付の見直し」の論点-選定療養費活用を提案.png

 

 
<選定療養費制度>                                                                 
保険給付される保険外併用療養費の範囲で患者徴収の「特別料金」が変動   

<選定療養費制度>.png

 

 

 

長期収載品(特許切れオリジナル薬剤)処方時の『追加』患者負担に反対する

選定療養を乱用した巧妙な保険給付『削減策』への幻惑を警鐘する

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

◆過去の再燃 医薬品開発の原資捻出を医療保険で企てるお門違い

 11月9日、社会保障審議会医療保険部会は、薬剤の患者負担を見直し、選定療養費制度を使い、長期収載品と後発品の「差額分」を、現行の患者負担に「追加」上乗せすることが大筋合意された。健康保険制度の趣旨や法理から見ても不思議なこの提案は年末までに結論となっている。至難と観測される予算編成の只中、巷の等閑視の下、一気呵成に制度化へ収斂する危険がある。骨太方針2023に盛られた、イノベーション推進のための薬剤の自己負担の見直しは、論理破綻、牽強付会の感が強い。2002年の健保法等の改定附則は将来にわたり7割給付の維持、つまりは患者3割負担限度を約束している。今回の提案はこれに明らかに反し、経済的理由での受診抑制を助長する。また薬剤処方を謙抑的にさせ、治療への影響も大きい。われわれは、法に背馳する財源捻出策のきらいが濃い、この企図に強く反対する。

  

◆奇異な長期収載品の薬価政策から患者負担政策への「骨太方針」の不思議な転換

 医薬品の新薬は、薬事承認され上市後、60日から90日の間に薬価基準に収載され、この特許期間が切れて、この先発品と成分が同一の後発品が販売、薬価収載となる。新薬は開発・製造コストの回収等を勘案し、薬価算定において特許期間中は新薬創出等加算が講じられ、市場実勢価格が下がっても改定の度に薬価は引き下げとはならず、当初の薬価が維持される。

 そして後発品の初出以降、新薬は長期収載品として後発品への置き換えを理由に一定ルールの下、後発品薬価を指標に薬価が段階的に引き下げられ、同一となり製薬企業は製造販売から撤退となっている。

 これが、後発品の使用80%を目標として、実施されてきた施策である。と同時に、「革新的な医薬品におけるイノベーションの評価の観点」(骨太方針2021)、「イノベーションの推進を図ること等により、医薬品産業を高い創薬力を持つ産業構造に転換する」(骨太方針2019)との政府方針の下、新薬と長期収載品にとられてきた薬価算定を通じた政策である。

 これが突如、「骨太方針2023」で、「医療保険財政の中で、こうしたイノベーションを推進するため、長期収載品等の自己負担の在り方の見直し、検討を進める」と、薬価政策から患者負担政策へと不思議な展開となっている。唐突感は拭えない。

  

◆目標達成にも関わらず、更なる長期収載品の薬価削減、患者転嫁が本音

 この理由は、図らずも「骨太方針2023」の中にある「後発医薬品への置換えは数量ベースで約8割に達しようとしているが、金額ベースでは約4割と諸外国と比較しても低い」、に見て取れる。後発品は数量ベースで当初目標の8割を達成し、1.6兆円(19年度)の医療費圧縮が実現したが、個々の薬価が低いため総薬剤費、金額ベースで4割程度にしかならず不満が含意されている。薬価算定ルールで新規の後発品が初収載の際、先発品の薬価に0.5を乗じ値決めされるので、数量で8割を占めても金額ベースでは半分の4割となるのは当然の帰結である。

 これを薬価算定ルールの違う諸外国と対比し、薬剤費圧縮の方策を提案したというのが本質である。新薬や後発品のない特許切れ品、基礎的な医薬品を、薬価基準から排除はできない。後発品のある長期収載品をターゲットとし、薬価を引き下げ、下げた分を患者に転嫁することにしたのである。

 

◆参照価格制度は「見せ球」、「捨て札」 法律改定不要な選定療養費活用で保険給付の「積み木崩し」

 医療保険部会では独・仏で導入されている「参照価格制度」が資料で示された。これは医薬品を薬効、有効成分、作用機序等でグループ化し、給付基準額(償還額の限度額)を決め、これを超過する薬価の医薬品の場合に、患者が超過額を負担する制度。仏国はこの限度額を後発品の平均価格に設定している。

 この制度は1999年に「日本版参照価格制度」として導入、法制化が企図され、頓挫した過去がある。また2012822日の中医協薬価専門部会でも、厚労省版提言型政策仕分けで参照価格制の導入が提案されたことを受け議論となったものの、導入反対論が保険者側も含め大勢を占め「当面、議論せず」となっている。更には、2017517日の医療保険部会でも議論となったが、健保連副会長の白川委員(当時)が、「後発品価格が高止まりし、長期的には薬剤費が不変もしくは増加してしまう」との調査研究報告を示すなど、反対、否定が各委員から多く出され、沙汰やみとなっている。

 これらはいずれも、イノベーションや、後発品の使用促進方策として提起されてきたものであり、所期目標の後発品使用量8割を達したいま導入する理由はない。制度化にあたり医薬品を「療養の給付」から「療養費の支給」へと法律改定も必須となりハードルが高い。参照価格制度は後発品との差額負担が大きいと今回の医療保険部会で意見があり、これとの比較優位で選定療養へと誘導されている。

 

◆目標も検証も不在の長期収載品の締め出し 理解不能、創薬・イノベーションになぜ連動するのか

 今回、選定療養で制度化するとしているが、根本的な疑問、技術的な疑問が多くある。

 製薬企業は先発品や後発品の各々を主軸とするもの、両者を手掛けるものと個々バラバラである。

 この間、提唱されてきた後発品への置き換えによる、イノベーション、創薬のビジネスモデルへの産業構造の転換といっても、研究開発資金がなければ不可能である。長期収載品の販売はその費用回収であり、利益はその原資としてあてられている。これを更に医療費抑制の観点で手練手管を弄して、今以上に長期収載品を市場から撤退させては創薬が難しくなり、裏表の関係で、医療需要に見合うよう後発品企業は増産体制を強いられ設備投資を重ね、破綻する危険はないのか。この根本問題がある。

 今回、医療保険部会では、エビデンスが多々口にされているが、後発品は新薬と有効成分は同一ではあるが溶解・溶質試験のみで物質同等性は担保しているが、臨床試験はしていない。基剤や添加物なども異なる。先発品と効能効果、用法用量等が違うものもある。医薬品として同一ではない。

 長期収載品の限界使用量は、後発品の使用量が8割なので1割程度とみられる。実際、「後発品不可処方箋」の割合は全体平均で10.2%であり、半数以上の薬局で23%程度(2018年一般社団法人日本保険薬局協会等「後発医薬品への変更不可に関する薬局実態調査」)でしかない。これを締め上げては逆に治療に支障が生じかねない。経済評価以外の医療現場の影響や効果等の「検証」が優先、必須である。

 

◆薬剤の「保険給付の在り方」は「入院時食事療養費」と同形 療養費体系化での保険外しの二の舞い回避を

 医療保険部会では、「長期収載品の保険給付の在り方」として論じられ、選定療養の活用が唱えられた。事後の記者レクで保険医療企画調査室長は法律改正が不要と答えている。

 しかし、選定療養は医療周辺のサービスを対象にし、「療養費」構成をとっている。これを医療のコア部分で、「療養の給付」の範疇である医薬品を、長期収載品のみをそこから外し、大臣告示のみで選定療養に組み入れるのは、あまりにも乱暴で無理筋である。保険給付の保険外しは20年前に実施された「180日超入院」しかなく、介護保険への移行を前提にしたものである。

 今回は明らかに異なり、しかも医療費の圧縮効果は限定的である。長期収載品で終わらず今後の薬剤の保険給付外し、薬剤の療養費制度化の布石の感が強い。仏国は薬剤の有用性評価に応じ、100%、65%、30%、15%、0%と5段階の保険償還制をとっており、昨今、高額医薬品が問題とされる中、懸念は強い。

 選定療養費制度は、保険給付分を療養費(金銭)で部分的に支給し、残余を「特別料金」で患者の負担とする合法的な差額徴収制度である。「特別料金」は厚労省が「相当額」とし目安を明示するが金額は任意で医療機関の裁量に委ねられる。差額分は医療機関収入であり、製薬企業の研究開発には回らない。

 大学病院等の「紹介状なし初診」の際に、特別料金7,000円が「義務」徴収とされ、保険給付分の減額が図られているが、これは健保法改定で大学病院等の紹介・連携の「責務」規定を盛り込み、荒業的に義務化を図ったものである。選定療養では長期収載品の追加負担の「金額」は固定できない。薬価改定に乗じ、既存ルールに重ねた薬価引き下げ分を差額徴収させるにしても無理がある。

 かつて1997年から6年間、薬剤の種類数に応じた薬剤別途負担が、診療報酬の包括払いと医薬分業の推進策として講じられたが、医療事務・実務が煩瑣で不評で廃止となっている。薬剤の安定供給が「前提」での選定療養費活用が今回提案されたが、現場混乱に無用な枷を課す愚は改めるべきである。

 療養の給付から外れた給食費は入院時食事療養費と体系を変え、患者の標準負担が保険給付を上回り実質7割負担、3割給付となってしまっている。今回の薬剤の保険外しの布石の将来が見てとれる。

 必要で最適な医療を保障する皆保険制度、療養の給付を崩す、長期収載品の選定療養費化に強く反対する。

2023年1120

 


 

◆後発医薬品(ジェネリック)の使用量「目標」80%をほぼ達成  (2023.9.29社保審医療保険部会資料より)

後発医薬品(ジェネリック)の使用量「目標」80%をほぼ達成.png

 

 

◆後発品への置き換えで1.6兆円削減(19年度)、直近は1.9兆円削減へ(21年度)(2023.9.29社保審医療保険部会資料より)

後発品への置き換えで1.6兆円削減(19年度)、直近は1.9兆円削減へ(21年度).png

 

 

◆長期収載品の「保険給付の見直し」の論点-選定療養費活用を提案 (2023.11.9社保審医療保険部会資料改編)

長期収載品の「保険給付の見直し」の論点-選定療養費活用を提案.png

 

 
<選定療養費制度>                                                                 
保険給付される保険外併用療養費の範囲で患者徴収の「特別料金」が変動   

<選定療養費制度>.png