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2023/2/17 医療運動部会長談話 「国として『子どもの医療費窓口負担ゼロ』の早期実現を 神奈川県、県市長会、県町村会の要請を支持する」

国として「子どもの医療費窓口負担ゼロ」の早期実現を

神奈川県、県市長会、県町村会の要請を支持する 

神奈川県保険医協会

医療運動部会長 二村 哲

 


 

 1月31日、神奈川県、県市長会、県町村会は全国一律の子どもの医療費助成制度の創設を求める要望書を政府に提出した。「医療費の窓口負担ゼロ」は子育て施策の中でも、子どものいのちと健康に直結する重要な課題である。われわれは地域の子どもたちのいのちと健康を守る立場から、県、市長会、町村会の要請を支持し、全国一律の「子どもの医療費窓口負担ゼロ」の早期実現を国に求める。

 

 子どもの医療費助成制度は、病気にかかりやすく重症化しやすい子どもの特性から、早期受診・早期治療を目的に地方単独事業として始まり、現在は有効な子育て支援策として全国に広がっている。2010年時点では、通院の助成対象年齢を「高校生まで」とする市町村がわずか1%(18市町村)だった頃と比較すると、2021年4月現在では、同47%(817市町)と約半数に達するなど、大幅に拡充した※1。

 

 一方で、対象年齢や所得制限の有無、一部負担金の有無など、市町村により差があり、要望書で指摘されているように「自治体間の競争」となっている一面もある。現状では国としての助成制度はなく、2008年に窓口負担2割の対象年齢を「3歳未満」から「義務教育就学前」に引き上げて以降、動きはない。それどころか国は、現物給付(=受診時に一旦立て替えでなくその場で助成を受けられること)で助成する自治体には、国民健康保険の国庫交付金を減額するという措置をとっている※2。

 

 岸田首相は今通常国会の施政方針演説で、「こども・子育て政策への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題」とし、将来的なこども・子育て予算倍増の提示を表明した。ここ神奈川でも、県が来年度から助成対象年齢を小学校卒業まで引き上げることを受け、県下市町村の実に7割超が、制度拡充に踏み切る方針だ※3。黒岩知事は要請で「全国一律で窓口負担をゼロにする明確でインパクトのあるメッセージこそ国民に響く」とコメントした。「窓口負担ゼロ」の世界は、自治体の努力で現実に広がってきている。いまこそ、「子どもの健やかな成長を支える」という国としての明確なメッセージを打ち出すときである。

 

 住む場所によって、子どもたちが受ける医療に差があってはならない。「医療費の窓口負担ゼロ」は、未来を担う子どもを安心して生み育てることができる社会の実現のため「待ったなし」の課題だ。われわれは、全国一律の「子どもの医療費窓口負担ゼロ」を、国として早期に実現することを求める。

 

※1:厚生労働省「乳幼児等医療費に関する援助の実施状況」より

※2:義務教育就学前の助成分に対する減額措置は2018年に廃止

※3:神奈川県保険医協会・地域医療対策部実施「医療費助成制度調査」より

2023年2月17日

 

国として「子どもの医療費窓口負担ゼロ」の早期実現を

神奈川県、県市長会、県町村会の要請を支持する 

神奈川県保険医協会

医療運動部会長 二村 哲

 


 

 1月31日、神奈川県、県市長会、県町村会は全国一律の子どもの医療費助成制度の創設を求める要望書を政府に提出した。「医療費の窓口負担ゼロ」は子育て施策の中でも、子どものいのちと健康に直結する重要な課題である。われわれは地域の子どもたちのいのちと健康を守る立場から、県、市長会、町村会の要請を支持し、全国一律の「子どもの医療費窓口負担ゼロ」の早期実現を国に求める。

 

 子どもの医療費助成制度は、病気にかかりやすく重症化しやすい子どもの特性から、早期受診・早期治療を目的に地方単独事業として始まり、現在は有効な子育て支援策として全国に広がっている。2010年時点では、通院の助成対象年齢を「高校生まで」とする市町村がわずか1%(18市町村)だった頃と比較すると、2021年4月現在では、同47%(817市町)と約半数に達するなど、大幅に拡充した※1。

 

 一方で、対象年齢や所得制限の有無、一部負担金の有無など、市町村により差があり、要望書で指摘されているように「自治体間の競争」となっている一面もある。現状では国としての助成制度はなく、2008年に窓口負担2割の対象年齢を「3歳未満」から「義務教育就学前」に引き上げて以降、動きはない。それどころか国は、現物給付(=受診時に一旦立て替えでなくその場で助成を受けられること)で助成する自治体には、国民健康保険の国庫交付金を減額するという措置をとっている※2。

 

 岸田首相は今通常国会の施政方針演説で、「こども・子育て政策への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題」とし、将来的なこども・子育て予算倍増の提示を表明した。ここ神奈川でも、県が来年度から助成対象年齢を小学校卒業まで引き上げることを受け、県下市町村の実に7割超が、制度拡充に踏み切る方針だ※3。黒岩知事は要請で「全国一律で窓口負担をゼロにする明確でインパクトのあるメッセージこそ国民に響く」とコメントした。「窓口負担ゼロ」の世界は、自治体の努力で現実に広がってきている。いまこそ、「子どもの健やかな成長を支える」という国としての明確なメッセージを打ち出すときである。

 

 住む場所によって、子どもたちが受ける医療に差があってはならない。「医療費の窓口負担ゼロ」は、未来を担う子どもを安心して生み育てることができる社会の実現のため「待ったなし」の課題だ。われわれは、全国一律の「子どもの医療費窓口負担ゼロ」を、国として早期に実現することを求める。

 

※1:厚生労働省「乳幼児等医療費に関する援助の実施状況」より

※2:義務教育就学前の助成分に対する減額措置は2018年に廃止

※3:神奈川県保険医協会・地域医療対策部実施「医療費助成制度調査」より

2023年2月17日