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2024/10/2 政策部長談話「健康保険証の廃止延期へ 石破首相の『有言実行』を大いに期待する」
健康保険証の廃止延期へ
石破首相の「有言実行」を大いに期待する
神奈川県保険医協会
政策部長 磯崎 哲男
◆自民党総裁選直前の保険証廃止見直し発言は福音、医療現場は歓迎
10月1日臨時国会で自民党の石破茂新総裁が第102代首相に指名され、新内閣が発足した。石破首相へは、自民党総裁選前に発言された、12月2日からの健康保険証の新規発行廃止の見直し、廃止期限の延期の実現へ、われわれ医療現場は大いに期待している。是非、有言実行を遂げて戴きたい。
◆「併用も選択肢として当然」、廃止延期論に理解は、保険証を残しての国民の声に向き合う面目躍如
石破首相は、9月8日、マイナンバーカードに保険証の機能を持たせたマイナ保険証への一本化を巡り、健康保険証の廃止期限の見直し論に賛同。「期限が来ても納得しない人がいっぱいいれば、併用も選択肢として当然」「廃止によって不利益を被る人がいないように努めるのが政府の仕事だ」と強調(産経新聞9月9日)。テレビ報道では夜に「速報」が「石破元幹事長が"マイナ保険証一本化"巡り「併用も選択肢」現行保険証の廃止延期論に理解」(フジテレビ)と流れている。
折しも9月2日に共同通信と18地方紙の合同調査で、現行の保険証を残して欲しいとの意見が8割(「現行の保険証の存続」と「マイナ保険証との併用」の合計)に上ることが全国で報道されている。
石破首相の総裁選前の廃止延期発言は、国民の声に真摯に向き合うものであり、医療現場ではとても歓迎されている。新内閣の林芳正官房長官も9月7日に同趣旨の発言をしており力強く感じている。
◆読売「社説」の不動の見識 「国民の不安払拭」が大前提の保険証廃止を質し、虚心な議論促す
9月26日読売新聞は、自民党総裁選の投開票日の前日に「マイナ保険証 国民の不安は払拭できたのか」との社説を掲げ、保険証の廃止は、国民の不安払拭が大前提と強調してきた政府へ、現状を踏まえ虚心な議論し直しを求めた。また、来春の運転免許証とマイナカードを一体化させた「マイナ免許証」の運用に触れ、現行の免許証の併用を認める方針だと説き、これができるならマイナ保険証と現行の保険証の「併用は可能」だと疑問を投げている。
読売新聞は昨年6月7日にも「保険証の廃止 見直しは今からでも遅くない」との社説を、マイナ保険証への一本化の関連法案が成立した直後に間髪を入れずに掲げ、河野デジタル相(当時)の2022年10月の唐突な保険証廃止表明で、状況が一変したと指摘。政府の22年6月段階の当初方針は選択制(=併用)であったことを念押ししている。今回の9月26日の社説では、河野氏の勇み足を衝き、「その後の政府の場当たり的な対応を見ると、デジタル機器に不慣れな高齢者などにどう配慮するか、といった視点を欠いていたと言わざるを得ない」と、的確な指摘をしている。併用は道理である。
◆「ダメだよ、保険証廃止は。人が死ぬんだから」デジ庁幹部は過去に断言 「民意重視」の政治決断を
保険証廃止の経緯の検証報道も相次ぐ。デジタル庁幹部は、保険証廃止によるマイナカード(マイナ保険証)普及に関し、「使えなくなると言えば普及するってのは権力的な目線だよ。ダメだよ。保険証は(なくなれば人が)死ぬんだから」と、否定していたことが明らかになっている(東京新聞9月25日)。
マイナ保険証保有は国民の58.8%だが、利用率は11.13%(7月時点)と乖離が大きい。保険証の代替の「資格確認書」は認知度が低く、マイナ保険証保有者には交付されない。12月以降、社会的混乱は必至である。
政治日程は、10月4日に所信表明演説、7~8日各党代表質問、9日党首討論、解散、15日衆院選公示、27日衆院選投開票の方針と報じられている。保険証廃止延期を政争の具とせず、政治判断を願いたい。
60年も前に皆保険が誕生し、今ほど豊かではない時代から、受診券として「健康保険証」は国民の生活の一部として息づき、いつでもどこでも誰でも医療が受けられるよう、大勢のしあわせのために、根付いてきた。デジタルとアナログの併用は、IT弱者や障碍者など多様性ある社会の摂理である。
健康保険証廃止延期、マイナ保険証と現行保険証との併用の政治決断を改めて石破新首相に期待する。
2024年10月2日
健康保険証の廃止延期へ
石破首相の「有言実行」を大いに期待する
神奈川県保険医協会
政策部長 磯崎 哲男
◆自民党総裁選直前の保険証廃止見直し発言は福音、医療現場は歓迎
10月1日臨時国会で自民党の石破茂新総裁が第102代首相に指名され、新内閣が発足した。石破首相へは、自民党総裁選前に発言された、12月2日からの健康保険証の新規発行廃止の見直し、廃止期限の延期の実現へ、われわれ医療現場は大いに期待している。是非、有言実行を遂げて戴きたい。
◆「併用も選択肢として当然」、廃止延期論に理解は、保険証を残しての国民の声に向き合う面目躍如
石破首相は、9月8日、マイナンバーカードに保険証の機能を持たせたマイナ保険証への一本化を巡り、健康保険証の廃止期限の見直し論に賛同。「期限が来ても納得しない人がいっぱいいれば、併用も選択肢として当然」「廃止によって不利益を被る人がいないように努めるのが政府の仕事だ」と強調(産経新聞9月9日)。テレビ報道では夜に「速報」が「石破元幹事長が"マイナ保険証一本化"巡り「併用も選択肢」現行保険証の廃止延期論に理解」(フジテレビ)と流れている。
折しも9月2日に共同通信と18地方紙の合同調査で、現行の保険証を残して欲しいとの意見が8割(「現行の保険証の存続」と「マイナ保険証との併用」の合計)に上ることが全国で報道されている。
石破首相の総裁選前の廃止延期発言は、国民の声に真摯に向き合うものであり、医療現場ではとても歓迎されている。新内閣の林芳正官房長官も9月7日に同趣旨の発言をしており力強く感じている。
◆読売「社説」の不動の見識 「国民の不安払拭」が大前提の保険証廃止を質し、虚心な議論促す
9月26日読売新聞は、自民党総裁選の投開票日の前日に「マイナ保険証 国民の不安は払拭できたのか」との社説を掲げ、保険証の廃止は、国民の不安払拭が大前提と強調してきた政府へ、現状を踏まえ虚心な議論し直しを求めた。また、来春の運転免許証とマイナカードを一体化させた「マイナ免許証」の運用に触れ、現行の免許証の併用を認める方針だと説き、これができるならマイナ保険証と現行の保険証の「併用は可能」だと疑問を投げている。
読売新聞は昨年6月7日にも「保険証の廃止 見直しは今からでも遅くない」との社説を、マイナ保険証への一本化の関連法案が成立した直後に間髪を入れずに掲げ、河野デジタル相(当時)の2022年10月の唐突な保険証廃止表明で、状況が一変したと指摘。政府の22年6月段階の当初方針は選択制(=併用)であったことを念押ししている。今回の9月26日の社説では、河野氏の勇み足を衝き、「その後の政府の場当たり的な対応を見ると、デジタル機器に不慣れな高齢者などにどう配慮するか、といった視点を欠いていたと言わざるを得ない」と、的確な指摘をしている。併用は道理である。
◆「ダメだよ、保険証廃止は。人が死ぬんだから」デジ庁幹部は過去に断言 「民意重視」の政治決断を
保険証廃止の経緯の検証報道も相次ぐ。デジタル庁幹部は、保険証廃止によるマイナカード(マイナ保険証)普及に関し、「使えなくなると言えば普及するってのは権力的な目線だよ。ダメだよ。保険証は(なくなれば人が)死ぬんだから」と、否定していたことが明らかになっている(東京新聞9月25日)。
マイナ保険証保有は国民の58.8%だが、利用率は11.13%(7月時点)と乖離が大きい。保険証の代替の「資格確認書」は認知度が低く、マイナ保険証保有者には交付されない。12月以降、社会的混乱は必至である。
政治日程は、10月4日に所信表明演説、7~8日各党代表質問、9日党首討論、解散、15日衆院選公示、27日衆院選投開票の方針と報じられている。保険証廃止延期を政争の具とせず、政治判断を願いたい。
60年も前に皆保険が誕生し、今ほど豊かではない時代から、受診券として「健康保険証」は国民の生活の一部として息づき、いつでもどこでも誰でも医療が受けられるよう、大勢のしあわせのために、根付いてきた。デジタルとアナログの併用は、IT弱者や障碍者など多様性ある社会の摂理である。
健康保険証廃止延期、マイナ保険証と現行保険証との併用の政治決断を改めて石破新首相に期待する。
2024年10月2日