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2024/12/16 マイナ保険証対応「免除」の医療機関は一定数ある 保険者への電話資格確認に、従来通り誠実な対応の徹底を求める

マイナ保険証対応「免除」の医療機関は一定数ある
保険者への電話資格確認に、従来通り誠実な対応の徹底を求める

 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

◆オンライン資格確認義務化「対象外」医療施設が忘れられている

 健康保険証の新規発行が122日に廃止となり、代わって「資格確認証」の発行に切り替わった。マイナ保険証「狂騒」ともいえる施策と政府広報で、「マイナ保険証がないと受診できないと思っていた」等、巷の誤解は未だ払拭されていない。行政や関係機関のマイナ保険証利用絶対視の姿勢も顕著にある。  

 しかも、マイナ保険証対応が免除となる、オンライン資格確認義務化の「対象外」の医療施設が一定数存在し、患者の日常診療を行い、地域医療を支えていることが忘れ去られている。そのため、患者の資格確認が不調な際に、保険者への電話照会による確認手続きが、円滑になされず、医療現場で支障が起きている。診療が医療機関の本分であり、マイナ保険証利用促進やその資格確認ではない。

 マイナ保険証「絶対重視主義」と思える施策・運営を改め、医療提供ができるよう、その徹底を求める。

 

◆紙レセプト医療機関(マイナ対応免除)は約75百施設あり、患者は月に約100万人いる

 オンライン資格確認義務化の「対象外」となっている医療機関は少なくない。その要件は、紙レセプトで保険請求をしている医療施設であり、「手書き」と「レセコン使用で76歳以上」となる。該当は7,725施設(2023年1月)もある。診療する患者は月に約100万人いる。全体に占める割合で%表示すれば少ないが、実数でみて決して少ない数ではない。歯科医療機関が多く5,185施設ある。

 強制適用、強制加入の皆保険制度であり、誰もが漏れずに受診でき、保険医療機関として指定された医療機関が保険診療を円滑にできるよう体制保障、体制整備を厚労省がするのは極めて道理である。

 これらの医療機関は法令に基づき支払基金と国保連合会に届出をして、誠実にルールに従い保険資格確認を行い、日常診療をあたっている。その中で次のような由々しき事例が起きている。

 

◆マイナ保険証「頭」の保険者、従前ルールの不理解が放置されたまま

 従前、保険証の記号番号が判っている患者について、患者が保険証を持参しなかった場合に、保険者に電話をして資格を確認するという手段がとられてきた。これがマイナ保険証への移行を理由に、対応を躊躇する保険者がでてきており、横浜市の歯科医院が実際に直面し、資格確認に難渋している。

 初診から半年ぶりに来院した患者はマイナ保険証のみ持参。歯科医院は事情を説明し、マイナンバーカードの他に「資格情報のお知らせ」の文書提示か、スマホでマイナポータルの画面の提示を求めるものの両方とも不携帯。そこで、初診来院時での患者の保険証の記号番号が判っているので、従前の確認方法をとることにし、保険者に電話を入れ、この状況を伝え資格確認をお願いしたものの、暫く待たされ、「スマホでマイナポータルの画面を確認させてもらってください」と煙に巻く返答。

 患者がスマホを持って来ていない事を再度伝えると保険者側の担当は困惑、逡巡。歯科医院の院長から「資格が生きているか否か、イエスかノーで答えられる質問に何故答えないのか」「保険証を忘れた患者に関し電話での資格確認は従前より行われていた方法であり、窓口で保険証を扱う事が中止されたわけでも、ルール変更があったわけでもない。何故答えを渋るのか」と質し、最終的に資格情報が有効であるとの確認を取る、という顛末となっている。不必要な時間が割かれる事態になっている。

 

◆皆保険を守るため、マイナ保険証対応「免除」医療機関での円滑な保険診療へも十全な対応が必須

 資格確認できない際に、「被保険者申立書」を患者に書いてもらい暫定的な保険請求をする方法は、マイナ保険証の対応が義務化された医療機関で、カードリーダー不調で資格確認手段がない場合の手続きである。義務化「対象外」の紙レセの医療機関での資格確認の手続き方法ではない。簡易的カードリーダー(資格確認限定型)の設置を厚労省は推奨しているが、設置義務はない。体制や理由が認められ「対象外」となっており、上述した対応に瑕疵も落ち度は何もない。厚労省は、「対象外」医療機関への従前の対応を保険者がとるよう、全ての関係機関に通知等を発出し、徹底を図るべきである。皆保険制度を守るため、医療団体、国会議員、報道機関の方々へも理解と尽力を強くお願いしたい。

2024年12月16日

 

 

マイナ保険証対応「免除」の医療機関は一定数ある
保険者への電話資格確認に、従来通り誠実な対応の徹底を求める

 

神奈川県保険医協会

政策部長  磯崎 哲男

 


 

◆オンライン資格確認義務化「対象外」医療施設が忘れられている

 健康保険証の新規発行が122日に廃止となり、代わって「資格確認証」の発行に切り替わった。マイナ保険証「狂騒」ともいえる施策と政府広報で、「マイナ保険証がないと受診できないと思っていた」等、巷の誤解は未だ払拭されていない。行政や関係機関のマイナ保険証利用絶対視の姿勢も顕著にある。  

 しかも、マイナ保険証対応が免除となる、オンライン資格確認義務化の「対象外」の医療施設が一定数存在し、患者の日常診療を行い、地域医療を支えていることが忘れ去られている。そのため、患者の資格確認が不調な際に、保険者への電話照会による確認手続きが、円滑になされず、医療現場で支障が起きている。診療が医療機関の本分であり、マイナ保険証利用促進やその資格確認ではない。

 マイナ保険証「絶対重視主義」と思える施策・運営を改め、医療提供ができるよう、その徹底を求める。

 

◆紙レセプト医療機関(マイナ対応免除)は約75百施設あり、患者は月に約100万人いる

 オンライン資格確認義務化の「対象外」となっている医療機関は少なくない。その要件は、紙レセプトで保険請求をしている医療施設であり、「手書き」と「レセコン使用で76歳以上」となる。該当は7,725施設(2023年1月)もある。診療する患者は月に約100万人いる。全体に占める割合で%表示すれば少ないが、実数でみて決して少ない数ではない。歯科医療機関が多く5,185施設ある。

 強制適用、強制加入の皆保険制度であり、誰もが漏れずに受診でき、保険医療機関として指定された医療機関が保険診療を円滑にできるよう体制保障、体制整備を厚労省がするのは極めて道理である。

 これらの医療機関は法令に基づき支払基金と国保連合会に届出をして、誠実にルールに従い保険資格確認を行い、日常診療をあたっている。その中で次のような由々しき事例が起きている。

 

◆マイナ保険証「頭」の保険者、従前ルールの不理解が放置されたまま

 従前、保険証の記号番号が判っている患者について、患者が保険証を持参しなかった場合に、保険者に電話をして資格を確認するという手段がとられてきた。これがマイナ保険証への移行を理由に、対応を躊躇する保険者がでてきており、横浜市の歯科医院が実際に直面し、資格確認に難渋している。

 初診から半年ぶりに来院した患者はマイナ保険証のみ持参。歯科医院は事情を説明し、マイナンバーカードの他に「資格情報のお知らせ」の文書提示か、スマホでマイナポータルの画面の提示を求めるものの両方とも不携帯。そこで、初診来院時での患者の保険証の記号番号が判っているので、従前の確認方法をとることにし、保険者に電話を入れ、この状況を伝え資格確認をお願いしたものの、暫く待たされ、「スマホでマイナポータルの画面を確認させてもらってください」と煙に巻く返答。

 患者がスマホを持って来ていない事を再度伝えると保険者側の担当は困惑、逡巡。歯科医院の院長から「資格が生きているか否か、イエスかノーで答えられる質問に何故答えないのか」「保険証を忘れた患者に関し電話での資格確認は従前より行われていた方法であり、窓口で保険証を扱う事が中止されたわけでも、ルール変更があったわけでもない。何故答えを渋るのか」と質し、最終的に資格情報が有効であるとの確認を取る、という顛末となっている。不必要な時間が割かれる事態になっている。

 

◆皆保険を守るため、マイナ保険証対応「免除」医療機関での円滑な保険診療へも十全な対応が必須

 資格確認できない際に、「被保険者申立書」を患者に書いてもらい暫定的な保険請求をする方法は、マイナ保険証の対応が義務化された医療機関で、カードリーダー不調で資格確認手段がない場合の手続きである。義務化「対象外」の紙レセの医療機関での資格確認の手続き方法ではない。簡易的カードリーダー(資格確認限定型)の設置を厚労省は推奨しているが、設置義務はない。体制や理由が認められ「対象外」となっており、上述した対応に瑕疵も落ち度は何もない。厚労省は、「対象外」医療機関への従前の対応を保険者がとるよう、全ての関係機関に通知等を発出し、徹底を図るべきである。皆保険制度を守るため、医療団体、国会議員、報道機関の方々へも理解と尽力を強くお願いしたい。

2024年12月16日