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2015/5/18 政策部長談話「皆保険の根幹崩す、保険料の傾斜設定、『患者申出療養』の深謀遠慮 共通番号制へ期待する保険会社の展開とともに警鐘する」

皆保険の根幹崩す、保険料の傾斜設定、「患者申出療養」の深謀遠慮

共通番号制へ期待する保険会社の展開とともに警鐘する

神奈川県保険医協会

政策部長 桑島 政臣


 参院で医療改革関連法案の審議に入った。ここまでの審議で、大きく取り上げられていない保険料の傾斜設定の導入は、患者申出療養の創設で懸念される保険会社の動きと重ね、社会保険の民間保険化、皆保険の理念の否定となり、憲法25条の生存権保障の形骸化の萌芽となる危険性があると考えている。そのことを警鐘し、この撤回を求めるとともに、共同の働きかけを関係方面に期待したい。

◆ 社会保険の民間保険化、憲法25条の解釈改憲の萌芽

 「保険料の傾斜設定」は、二木立・日本福祉大学学長の慧眼により、つい最近、指摘された(『日本医事新報』2015.5.16「(緊急掲載)財務省の社会保障改革提案をどう読むか?」)。保険者による被保険者等の予防などの「自助努力についての支援」が健保法改定案(第150条)に盛られ、成立後の対応とし、ヘルスポイントの付与とともに、「保険料への支援(=引き下げ)」が予定されている(4.14産業競争力会議実行実現点検会合に厚労省から資料提示)。これは自助努力による保険料の値引きであり、社会保険の根本原則である、社会連帯によるリスク分散と賃金等の負担能力に応じた保険料設定を否定し、疾病リスクに応じた保険料設定、つまりは社会保険の民間保険化を目指すものとなる

 この「保険料への支援」は社会保障審議会医療保険部会で日医はもとより、健保連の委員の反対にもかかわらず、法案に盛り込まれている。

 これはいわば、憲法25条の生存権保障を、なし崩し的に形骸化させる、解釈改憲の萌芽、社会保障の大転換となる。既に社会保障改革プログラム法が「自立」を謳っているだけに看過は禁物である。

◆ 安全性を度外視の「患者申出療養」と患者側の事故補償保険加入 

 これにくわえ、患者申出療養を巡って保険商品の開発への懸念が募る。患者申出療養は、有効性・安全性を判断・確認するため科学的統計学的検証に耐えうる「実施計画(プロトコル)」を策定し実施する「臨床研究」と保険診療の混合診療である。国会論戦で、政府答弁でいう保険収載に向けたロードマップは本来、実施計画とは別物であり、先進医療Bの承認資料にみるように、簡素なものから具体的なものまでピンキリであり「予定表」の域を出ない実施計画は、被験者選定、症例登録数、試験期間、有害事象の扱い、統計分析の方法など、綿密にデザインされるもので、この内容こそが重要である。

 また、実施計画に基づく患者申出療養の承認審査は、先進医療Bと同様、「実施計画」に盛り込まれる、安全性と有効性の評価基準が妥当か、倫理審査を通過した実施計画で安全管理され遂行できるかの"管理上"の確認であり、医療技術の"安全性"を保証、確認したものではない。医療技術は数例の実施実績が基本だが、先進医療Bは臨床研究中核病院では実績の省略、1例もなくとも承認されている。この延長線上の患者申出療養も同様である。

 「有害事象」というのも、臨床研究ならではの話である。通常医療では「医療事故」であり、補償制度は医薬品の副作用被害救済制度以外にはない。過失・有責の際には、民間の医師賠償責任保険で対応されている。一方、治験や臨床研究(臨床試験)では、実施機関が被験者同意の下、民間の治験保険、臨床研究保険に加入し、研究上の事故、有害事象に対応している。

 患者申出療養の有害事象での心配は、「患者起点」を理由に、医療機関と患者の「責任割合」により、実施機関の用意する臨床研究保険で「補償」が、十分になされないことである。保険会社の商品「約款」の問題であり、不十分な場合は患者が、後遺障害や死亡時の遺族の生活などの補償のために高額な補償保険に加入する必要がでる。

◆ 患者申出療養を支える、民間版「健康保険」との結合

 それ以上の問題がある。未確立な医療ながら、臨床研究上の先進医療を通常医療と併せ提供する、これが先進医療Bと患者申出療養である。臨床研究と保険診療の混合診療の「容認」が前提とされており、この仕組みそもそもに疑問が挟まれず、論戦が展開されているきらいがある。

 その上で、患者申出療養の最大のポイントは、政府答弁ではぐらかされている、「適格基準外」の患者、実施計画に逸れる患者、治験外の患者への実施が組み込まれている点にある。つまり、策定の難しい「実施計画」抜きで、自由診療と保険診療の混合診療が認められる点にある。倫理的・人道的に問題があり、当然、有害事象の際の補償は、全面的に患者の自己負担になる可能性が大きい。

 しかも、先進医療Bが、大学病院などに事実上、実施が限定され、1医療技術平均10カ所程度だった「施設基準」「個別承認」方式が、がん診療連携拠点病院(約400カ所)など「身近な医療機関」で、国が示す「実施体制の目安」を基に「臨床研究中核病院の審査」方式へと変更、緩和され、かつ「スピーディ」に実施機関が増殖していくことにある。

 このことは意味深長である。現在、民間保険商品の「先進医療特約保険」は、先進医療の実施機関が限定されているため販売は限度がある。これが実施機関と対象技術の拡大で、市場が拡大することを意味している。

 しかも一昨年、金融庁の金融審議会金融分科会保険商品WGが、現物給付型の保険商品を、法改定抜きで運用の解釈で合法とする報告書を出し、民間版「健康保険」の誕生に道筋がつけられている。

 これは「直接支払い制度」といい、保険会社が疾病保険の保険金を病気の際に契約者に代え、医療機関に直接支払うというもので、いわば健康保険でいう受領委任の「委任代行払い」である。

 つまり、国立がん研究センターが患者申出療養の候補としてホームページであげた100万円単位(月)の抗がん剤も、民間保険のこの制度運用で患者はお金を用立てずにキャッシュレスで医療が受けられる。先進医療特約の掛金は数十円から数百円であり、先進医療の実績から大幅に民間保険の掛金や保険金支払いは膨張しないと予想される。まさに患者申出療養への「先行対応」が「直接支払い制度」である。

 実際、神奈川県でも重粒子センターの建設にあたり、担当審議会で保険商品の直接支払い制度の積極的な活用と普及が課題だと指摘もされており、混合診療対応、公民補完、棲み分けの保険業界の敷いた路線どおりとなっていく。

◆ 選定療養への医療技術の導入、5,000円の差額負担も保険商品の対象に

 更には、先進性はないが、保険収載されていない医療技術を選定療養のメニューとして導入することが現在、取り沙汰され、病院団体で具体的な要望が検討されはじめた。これも、いずれ保険商品の対象化、直接支払い制度と結びつく。紹介状なしの大病院受診の5,000~1万円の差額負担(選定療養)義務化も、既存の実損填補型で患者負担をカバーする保険商品の延長線上にある。

◆ 共通番号制は織り込み済みの民間版「健康保険」への懸念

 直接支払いは、契約者の同意とともに、保険会社と医療機関の契約が必要である。また保険診療給付との照合、調整、帳票、通知連絡など事務負担も多い。これに関し、当初から共通番号の利用が要望されている。今国会審議中の番号法改定案は、これまで個人番号に紐付けた「官」の保有する情報の「官」の利用だったものが、特定健診情報(血液検査値、身長・体重・腹囲)、予防接種履歴、預金口座情報へと、個人の「番号」への紐づけが「民」の保有する情報へと拡大され、一線を超える。また、2017年からは「医療保険者」、つまり「民」による利用が開かれていく。生保業界は、オンラインの共通番号の利用による給付確認、マイポータルへの事務通知、控除証明書送付での郵便・実務経費の軽減などを企図しており、患者申出療養に対応した商品開発と市場の拡がりが、「民」の共通番号の利用への後押しとなる公算が高い。そうなれば、保険会社と医療機関は団体ごとの集合契約を結ばなくとも、円滑に民間版「健康保険」を稼働できる。

◆ 戦後社会が築いてきた社会保障を崩す路線転換に鉄槌を

 税・社会保障の一体改革は、消費税増税、社会保障改革、共通番号制の3本柱であり、関連の審議会、業界が「同期」して動いてきた。13年の「プログラム法」に先立ち、12年の社会保障制度改革推進法では、皆保険の「原則化」、つまり「例外」の容認がうたわれた。総じて、今回の保険料の傾斜設定は、「氷山の一角」、事態の象徴である。だからこそ、この撤回は要となる。

 と同時に、患者申出療養で実質、混合診療の「自由化」に道を開かせず、最低限、医療倫理を担保する、臨床研究の倫理指針に基づく「実施計画」は、例外なく必須である。これを外れるものは、患者要望を盾にとっても、人道に外れる。健康保険財政の臨床研究への流用の点でも、一刻の猶予を争う重篤な経済的に苦しい患者を蔑ろにした健康保険の「背信」である。

 保険給付範囲の縮小、公的保険外の市場化は、単なる「公費から私費へのコストシフティングにすぎず、経済成長とは無関係」(二木立氏)である。「経済活性化とは、働く機会(人手にかかる仕事)が増え、多くの人が職を得ている状態」(田中優子・法政大学総長『カムイ伝講義』)であり、雇用の安定や、健康保険など社会保障の充実があってこそ、国力として経済成長が図れるのである。

 われわれは、戦禍の荒廃から、戦後の日本社会を建設し確立してきた社会保障を換骨奪胎する、社会保険の民間化、患者申出療養などの市場化路線の一連の施策の撤回を強く求める。

2015年5月18日

皆保険の根幹崩す、保険料の傾斜設定、「患者申出療養」の深謀遠慮

共通番号制へ期待する保険会社の展開とともに警鐘する

神奈川県保険医協会

政策部長 桑島 政臣


 参院で医療改革関連法案の審議に入った。ここまでの審議で、大きく取り上げられていない保険料の傾斜設定の導入は、患者申出療養の創設で懸念される保険会社の動きと重ね、社会保険の民間保険化、皆保険の理念の否定となり、憲法25条の生存権保障の形骸化の萌芽となる危険性があると考えている。そのことを警鐘し、この撤回を求めるとともに、共同の働きかけを関係方面に期待したい。

◆ 社会保険の民間保険化、憲法25条の解釈改憲の萌芽

 「保険料の傾斜設定」は、二木立・日本福祉大学学長の慧眼により、つい最近、指摘された(『日本医事新報』2015.5.16「(緊急掲載)財務省の社会保障改革提案をどう読むか?」)。保険者による被保険者等の予防などの「自助努力についての支援」が健保法改定案(第150条)に盛られ、成立後の対応とし、ヘルスポイントの付与とともに、「保険料への支援(=引き下げ)」が予定されている(4.14産業競争力会議実行実現点検会合に厚労省から資料提示)。これは自助努力による保険料の値引きであり、社会保険の根本原則である、社会連帯によるリスク分散と賃金等の負担能力に応じた保険料設定を否定し、疾病リスクに応じた保険料設定、つまりは社会保険の民間保険化を目指すものとなる

 この「保険料への支援」は社会保障審議会医療保険部会で日医はもとより、健保連の委員の反対にもかかわらず、法案に盛り込まれている。

 これはいわば、憲法25条の生存権保障を、なし崩し的に形骸化させる、解釈改憲の萌芽、社会保障の大転換となる。既に社会保障改革プログラム法が「自立」を謳っているだけに看過は禁物である。

◆ 安全性を度外視の「患者申出療養」と患者側の事故補償保険加入 

 これにくわえ、患者申出療養を巡って保険商品の開発への懸念が募る。患者申出療養は、有効性・安全性を判断・確認するため科学的統計学的検証に耐えうる「実施計画(プロトコル)」を策定し実施する「臨床研究」と保険診療の混合診療である。国会論戦で、政府答弁でいう保険収載に向けたロードマップは本来、実施計画とは別物であり、先進医療Bの承認資料にみるように、簡素なものから具体的なものまでピンキリであり「予定表」の域を出ない実施計画は、被験者選定、症例登録数、試験期間、有害事象の扱い、統計分析の方法など、綿密にデザインされるもので、この内容こそが重要である。

 また、実施計画に基づく患者申出療養の承認審査は、先進医療Bと同様、「実施計画」に盛り込まれる、安全性と有効性の評価基準が妥当か、倫理審査を通過した実施計画で安全管理され遂行できるかの"管理上"の確認であり、医療技術の"安全性"を保証、確認したものではない。医療技術は数例の実施実績が基本だが、先進医療Bは臨床研究中核病院では実績の省略、1例もなくとも承認されている。この延長線上の患者申出療養も同様である。

 「有害事象」というのも、臨床研究ならではの話である。通常医療では「医療事故」であり、補償制度は医薬品の副作用被害救済制度以外にはない。過失・有責の際には、民間の医師賠償責任保険で対応されている。一方、治験や臨床研究(臨床試験)では、実施機関が被験者同意の下、民間の治験保険、臨床研究保険に加入し、研究上の事故、有害事象に対応している。

 患者申出療養の有害事象での心配は、「患者起点」を理由に、医療機関と患者の「責任割合」により、実施機関の用意する臨床研究保険で「補償」が、十分になされないことである。保険会社の商品「約款」の問題であり、不十分な場合は患者が、後遺障害や死亡時の遺族の生活などの補償のために高額な補償保険に加入する必要がでる。

◆ 患者申出療養を支える、民間版「健康保険」との結合

 それ以上の問題がある。未確立な医療ながら、臨床研究上の先進医療を通常医療と併せ提供する、これが先進医療Bと患者申出療養である。臨床研究と保険診療の混合診療の「容認」が前提とされており、この仕組みそもそもに疑問が挟まれず、論戦が展開されているきらいがある。

 その上で、患者申出療養の最大のポイントは、政府答弁ではぐらかされている、「適格基準外」の患者、実施計画に逸れる患者、治験外の患者への実施が組み込まれている点にある。つまり、策定の難しい「実施計画」抜きで、自由診療と保険診療の混合診療が認められる点にある。倫理的・人道的に問題があり、当然、有害事象の際の補償は、全面的に患者の自己負担になる可能性が大きい。

 しかも、先進医療Bが、大学病院などに事実上、実施が限定され、1医療技術平均10カ所程度だった「施設基準」「個別承認」方式が、がん診療連携拠点病院(約400カ所)など「身近な医療機関」で、国が示す「実施体制の目安」を基に「臨床研究中核病院の審査」方式へと変更、緩和され、かつ「スピーディ」に実施機関が増殖していくことにある。

 このことは意味深長である。現在、民間保険商品の「先進医療特約保険」は、先進医療の実施機関が限定されているため販売は限度がある。これが実施機関と対象技術の拡大で、市場が拡大することを意味している。

 しかも一昨年、金融庁の金融審議会金融分科会保険商品WGが、現物給付型の保険商品を、法改定抜きで運用の解釈で合法とする報告書を出し、民間版「健康保険」の誕生に道筋がつけられている。

 これは「直接支払い制度」といい、保険会社が疾病保険の保険金を病気の際に契約者に代え、医療機関に直接支払うというもので、いわば健康保険でいう受領委任の「委任代行払い」である。

 つまり、国立がん研究センターが患者申出療養の候補としてホームページであげた100万円単位(月)の抗がん剤も、民間保険のこの制度運用で患者はお金を用立てずにキャッシュレスで医療が受けられる。先進医療特約の掛金は数十円から数百円であり、先進医療の実績から大幅に民間保険の掛金や保険金支払いは膨張しないと予想される。まさに患者申出療養への「先行対応」が「直接支払い制度」である。

 実際、神奈川県でも重粒子センターの建設にあたり、担当審議会で保険商品の直接支払い制度の積極的な活用と普及が課題だと指摘もされており、混合診療対応、公民補完、棲み分けの保険業界の敷いた路線どおりとなっていく。

◆ 選定療養への医療技術の導入、5,000円の差額負担も保険商品の対象に

 更には、先進性はないが、保険収載されていない医療技術を選定療養のメニューとして導入することが現在、取り沙汰され、病院団体で具体的な要望が検討されはじめた。これも、いずれ保険商品の対象化、直接支払い制度と結びつく。紹介状なしの大病院受診の5,000~1万円の差額負担(選定療養)義務化も、既存の実損填補型で患者負担をカバーする保険商品の延長線上にある。

◆ 共通番号制は織り込み済みの民間版「健康保険」への懸念

 直接支払いは、契約者の同意とともに、保険会社と医療機関の契約が必要である。また保険診療給付との照合、調整、帳票、通知連絡など事務負担も多い。これに関し、当初から共通番号の利用が要望されている。今国会審議中の番号法改定案は、これまで個人番号に紐付けた「官」の保有する情報の「官」の利用だったものが、特定健診情報(血液検査値、身長・体重・腹囲)、予防接種履歴、預金口座情報へと、個人の「番号」への紐づけが「民」の保有する情報へと拡大され、一線を超える。また、2017年からは「医療保険者」、つまり「民」による利用が開かれていく。生保業界は、オンラインの共通番号の利用による給付確認、マイポータルへの事務通知、控除証明書送付での郵便・実務経費の軽減などを企図しており、患者申出療養に対応した商品開発と市場の拡がりが、「民」の共通番号の利用への後押しとなる公算が高い。そうなれば、保険会社と医療機関は団体ごとの集合契約を結ばなくとも、円滑に民間版「健康保険」を稼働できる。

◆ 戦後社会が築いてきた社会保障を崩す路線転換に鉄槌を

 税・社会保障の一体改革は、消費税増税、社会保障改革、共通番号制の3本柱であり、関連の審議会、業界が「同期」して動いてきた。13年の「プログラム法」に先立ち、12年の社会保障制度改革推進法では、皆保険の「原則化」、つまり「例外」の容認がうたわれた。総じて、今回の保険料の傾斜設定は、「氷山の一角」、事態の象徴である。だからこそ、この撤回は要となる。

 と同時に、患者申出療養で実質、混合診療の「自由化」に道を開かせず、最低限、医療倫理を担保する、臨床研究の倫理指針に基づく「実施計画」は、例外なく必須である。これを外れるものは、患者要望を盾にとっても、人道に外れる。健康保険財政の臨床研究への流用の点でも、一刻の猶予を争う重篤な経済的に苦しい患者を蔑ろにした健康保険の「背信」である。

 保険給付範囲の縮小、公的保険外の市場化は、単なる「公費から私費へのコストシフティングにすぎず、経済成長とは無関係」(二木立氏)である。「経済活性化とは、働く機会(人手にかかる仕事)が増え、多くの人が職を得ている状態」(田中優子・法政大学総長『カムイ伝講義』)であり、雇用の安定や、健康保険など社会保障の充実があってこそ、国力として経済成長が図れるのである。

 われわれは、戦禍の荒廃から、戦後の日本社会を建設し確立してきた社会保障を換骨奪胎する、社会保険の民間化、患者申出療養などの市場化路線の一連の施策の撤回を強く求める。

2015年5月18日