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2015/8/27 理事会声明 「年金の紐付け延期は問題解決に直結しない 改めてマイナンバー拡大法案の廃案と拙速なマイナンバーの実施中止又は延期を求める」

年金の紐付け延期は問題解決に直結しない

改めてマイナンバー拡大法案の廃案と

拙速なマイナンバーの実施中止又は延期を求める

神奈川県保険医協会

第27期第4回理事会


 本日、マイナンバー制度の拡大法案が参議院内閣委員会にて採決、可決された。法案は来週中にも衆議院に送られ、成立を見ようとしている。マイナンバー制度に国民の不安を掻き立てた日本年金機構(以下:機構)の情報流出に対して、調査報告書の公表によって問題を糊塗し、審議再開・即採決という"乱暴"な国会運営に、我々は断固抗議する。

 6月に発覚した機構のサイバー攻撃による約125万件の年金情報流出によって、国民不安の高まりに圧され、政府は原因究明と再発防止の検討を優先させ、法案審議を中断した。それが一転、機構・検証委員会が各々公表した調査報告書を受け、基礎年金番号の紐付けを1年程度延期する修正案をもって、即審議再開・即採決への道筋をつけた。

 しかし、これでは根本的な問題解決には何ら辿り着かない。法案は、あくまでマイナンバーの利用範囲に預貯金口座、特定健診情報、予防接種履歴を追加するという「拡大法案」である。年金の紐付け延期の修正案は「目くらまし」であり、国民の不安に応えたものではない。問題はマイナンバー制度そのものであり、マイナンバーが年金情報と同様もしくはそれ以上の情報流出という事態を引き起こす危険性を孕んでいる点にある。

 実は、検証委員会の調査報告書では、機構がサイバー攻撃を受ける以前、4月の時点で厚労省が同種のサイバー攻撃を受けていたこと、その事実・対処法等について厚労省から機構に情報提供がなかったことなど、新たな事実が明らかになっている。そして最後に、サイバー攻撃への対応の重要性が説かれている。しかしながら、その内容は、▼人的体制の整備、▼職員の教育訓練の徹底、▼技術的な整備、▼運用管理の徹底――など、小規模自治体や中小事業者が実践するにはおよそ不可能なものである。

 マイナンバーは官民関わらず多くの事業者が管理することになる。そしてマイナンバーは社会保障・税など多種多様な個人情報を紐付け、集積するための「鍵」になることから、その価値の高さは年金情報の比ではない。すべての事業者がサイバー攻撃の標的となる可能性が非常に高く、国民の不安が日増しに高まるのは当然である。

 すでに、マスコミ等の直近の調査結果では、国民のマイナンバー制度の認知度が依然低いこと、事業者の多くはマイナンバー対応が未整備でありマイナンバーにメリットを感じていないこと等が明らかとなっている。これが現実であり、国民・事業者はマイナンバー制度の導入を積極的に望んでいないこと、社会的にマイナンバーの受け入れ態勢が整っていないことの証左である。

 政府が今なすべきことは、調査報告書を真摯に受け止め内容を十分に精査すること、その上でマイナンバーの制度設計や漏洩・流出・悪用対策等を再検討し、国民の不安を解消し納得・理解を得ることである。そのためには十分な検討時間が必要だ。

 よって、マイナンバー制度の10月の個人番号の通知開始と来年1月の運用開始を中止または延期させ、制度の必要性から個人情報保護の重要性等を踏まえ、再度国民議論に付すことが最善策である。制度の施行を待たない拡大法案は二の次の話であり、審議中断のまま国会閉幕・廃案というシナリオが妥当だ。

 当会は、拡大法案の参議院内閣委員会での可決に強く抗議するとともに、改めて拡大法案の廃案と拙速なマイナンバー制度の実施中止または延期を強く求める。

2015年8月27日

年金の紐付け延期は問題解決に直結しない

改めてマイナンバー拡大法案の廃案と

拙速なマイナンバーの実施中止又は延期を求める

神奈川県保険医協会

第27期第4回理事会


 本日、マイナンバー制度の拡大法案が参議院内閣委員会にて採決、可決された。法案は来週中にも衆議院に送られ、成立を見ようとしている。マイナンバー制度に国民の不安を掻き立てた日本年金機構(以下:機構)の情報流出に対して、調査報告書の公表によって問題を糊塗し、審議再開・即採決という"乱暴"な国会運営に、我々は断固抗議する。

 6月に発覚した機構のサイバー攻撃による約125万件の年金情報流出によって、国民不安の高まりに圧され、政府は原因究明と再発防止の検討を優先させ、法案審議を中断した。それが一転、機構・検証委員会が各々公表した調査報告書を受け、基礎年金番号の紐付けを1年程度延期する修正案をもって、即審議再開・即採決への道筋をつけた。

 しかし、これでは根本的な問題解決には何ら辿り着かない。法案は、あくまでマイナンバーの利用範囲に預貯金口座、特定健診情報、予防接種履歴を追加するという「拡大法案」である。年金の紐付け延期の修正案は「目くらまし」であり、国民の不安に応えたものではない。問題はマイナンバー制度そのものであり、マイナンバーが年金情報と同様もしくはそれ以上の情報流出という事態を引き起こす危険性を孕んでいる点にある。

 実は、検証委員会の調査報告書では、機構がサイバー攻撃を受ける以前、4月の時点で厚労省が同種のサイバー攻撃を受けていたこと、その事実・対処法等について厚労省から機構に情報提供がなかったことなど、新たな事実が明らかになっている。そして最後に、サイバー攻撃への対応の重要性が説かれている。しかしながら、その内容は、▼人的体制の整備、▼職員の教育訓練の徹底、▼技術的な整備、▼運用管理の徹底――など、小規模自治体や中小事業者が実践するにはおよそ不可能なものである。

 マイナンバーは官民関わらず多くの事業者が管理することになる。そしてマイナンバーは社会保障・税など多種多様な個人情報を紐付け、集積するための「鍵」になることから、その価値の高さは年金情報の比ではない。すべての事業者がサイバー攻撃の標的となる可能性が非常に高く、国民の不安が日増しに高まるのは当然である。

 すでに、マスコミ等の直近の調査結果では、国民のマイナンバー制度の認知度が依然低いこと、事業者の多くはマイナンバー対応が未整備でありマイナンバーにメリットを感じていないこと等が明らかとなっている。これが現実であり、国民・事業者はマイナンバー制度の導入を積極的に望んでいないこと、社会的にマイナンバーの受け入れ態勢が整っていないことの証左である。

 政府が今なすべきことは、調査報告書を真摯に受け止め内容を十分に精査すること、その上でマイナンバーの制度設計や漏洩・流出・悪用対策等を再検討し、国民の不安を解消し納得・理解を得ることである。そのためには十分な検討時間が必要だ。

 よって、マイナンバー制度の10月の個人番号の通知開始と来年1月の運用開始を中止または延期させ、制度の必要性から個人情報保護の重要性等を踏まえ、再度国民議論に付すことが最善策である。制度の施行を待たない拡大法案は二の次の話であり、審議中断のまま国会閉幕・廃案というシナリオが妥当だ。

 当会は、拡大法案の参議院内閣委員会での可決に強く抗議するとともに、改めて拡大法案の廃案と拙速なマイナンバー制度の実施中止または延期を強く求める。

2015年8月27日