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2014/1/14 政策部長談話「消費税の本体補填分0.63%の『全額』配点を求める 配分案では7割程度?! "中抜き"では困る」

消費税の本体補填分0.63%の「全額」配点を求める

配分案では7割程度?! "中抜き"では困る

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 1月8日、中医協の消費税分科会で、今次診療報酬改定での消費税補填分の配分に関し議論が始まった。この補填分は改定率で1.36%(本体0.63%、薬価等0.73%)だが、議論は本体0.63%(医科:約2200億円、歯科:約200億円、調剤:約100億円、計:約2600億円)の点数配分となる。既に補填方法は、初診料・再診料などの基本診療料を中心に個別項目との組み合わせと決まっており、当日は2案が示され、診療側が支持する基本診療料にほぼ財源を投入する案で座長がとりまとめた。しかし、この案で、実際に試算すると、必ずしも補填額に近似せず、合計額は7割程となっている。今次改定はこの補填分を除き実質▲1.26%であり、既に医療崩壊の危機も指摘されている。われわれは、全額が規定方針通り、基本診療料に補填されるよう強く求める。

 中医協の分科会がまとめた案は、医科は(1)財源配分を医療費実績を反映させ、診療所600億円、病院1600億円に配分、(2)診療所は初診料12点、再診料3点を補填、有床診療所入院基本料を2%アップで補填、(3)病院は初・再診料の補填を診療所と同様にし、配分財源の1割(160億円)をあて、残り9割(1,440億円)を使い「入院料」全体を2%引き上げ補填、というもの。また、歯科は(4)初診料16点、再診料3点の補填となっている。

 この案に基づき、社会医療診療行為別調査(平成24年)の数値を利用し補填額の財政試算をすると、診療所は(1)初診料232.9億円、(2)再診料232.8億円、(3)有床診療所入院基本料16.0億円で合計は481.7億円であり、配分された600億円との差額は120億円、実に20%に及ぶ。つまり財源の8割しか充てられていない。残余を補完的に個別項目に充当としているが、「補完」にしては大き過ぎる。

 病院は、(1)初・再診料で113.7億円、(2)入院料で894.4億円であり、双方とも配分予定額の71.0%、62.1%と低く、合計は1,008.1億円で配分された1,600億円とのギャップは590億円で充当率は63.0%に過ぎない。

 これら医科の補填額の合計は1,489.8億円で、補填額2,200億円との差は710億円と大きく、充当率は67.7%であり、7割程度しか充てられていない。

 歯科の補填額は、初診料104.7億円、再診料80.8億円の合計185.5億円で配分された200億円との差は15億円で充当率は92.7%となるが、からくりがある。補填額が約200億円とされているが、改定率から計算する補填額は250億円相当であり、ギャップは65億円で充当率は74.2%。歯科も7割程度しか充てられていないのである。

 消費税の補填分は財務省の1.23%を覆し厚労省の1.36%の主張が適ったとされるが、以上に見たように点数配分は補填額の9割にも満たず財務省水準にも達していない(1.23/1.36=0.9)。

 中医協分科会の資料は十億円単位での財源は明示しておらず、当会の照会に財務省も厚労省も回答を濁している。今次改定は、補填分を含んだトータルで0.1%、410億円でしかない。改定率は小数点第2位、つまり十億円単位の数字の攻防の末、決定されている。十億円単位の数字を誠実に提示し、「透明性」を図るべきである。

 補填額と点数配分案の「差額」は、診療所で初診料2点、再診料1点の追加補填、病院で初診料1点、再診料1点、入院料1%の追加補填に相当する。歯科では初診料1点、再診料2点に相当する。

 消費税8%で医療機関の「損税」は増加する。医療機関経営を支える補填の誠実な実行を求める。

2014年1月14日

◆中医協・費税分科会の「案2」に基づく財政試算と補填財源とのギャップ

案2

回数・点数(現行)(年間)

必要額

配分額

差額

充当率

診療所

初診料

12点

回数

16,176,971×12

232.9億円

再診料

3点

回数

64,674,531×12

232.8億円

有床診療所入院基本料

2%

点数

665,020,907×12

16.0億円

合計

481.7億円

約600億円

▲120億円

80.2%

病院

初診料

12点

回数

4,215,206×12

60.7億円

再診料

3点

回数

14,714,003×12

53.0億円

入院料

2%

点数

37,264,872,847×12

894.4億円

合計

1,008.1億円

約1,600億円

▲590億円

63.0%

合計

1,489.8億円

約2,200億円

▲710億円

67.7%

案2

回数・点数(現行)(年間)

必要額

配分額

差額

充当率

歯科

初診料

16点

回数

5,451,852×12

104.7億円

再診料

3点

回数

22,449,641×12

80.8億円

合計

185.5億円

約200億円

▲15億円

92.7%

*1) 回数・点数は平成24年社会医療診療行為別調査より。

*2) 「案2」の配点、配分額は中医協資料より。

 

消費税の本体補填分0.63%の「全額」配点を求める

配分案では7割程度?! "中抜き"では困る

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 1月8日、中医協の消費税分科会で、今次診療報酬改定での消費税補填分の配分に関し議論が始まった。この補填分は改定率で1.36%(本体0.63%、薬価等0.73%)だが、議論は本体0.63%(医科:約2200億円、歯科:約200億円、調剤:約100億円、計:約2600億円)の点数配分となる。既に補填方法は、初診料・再診料などの基本診療料を中心に個別項目との組み合わせと決まっており、当日は2案が示され、診療側が支持する基本診療料にほぼ財源を投入する案で座長がとりまとめた。しかし、この案で、実際に試算すると、必ずしも補填額に近似せず、合計額は7割程となっている。今次改定はこの補填分を除き実質▲1.26%であり、既に医療崩壊の危機も指摘されている。われわれは、全額が規定方針通り、基本診療料に補填されるよう強く求める。

 中医協の分科会がまとめた案は、医科は(1)財源配分を医療費実績を反映させ、診療所600億円、病院1600億円に配分、(2)診療所は初診料12点、再診料3点を補填、有床診療所入院基本料を2%アップで補填、(3)病院は初・再診料の補填を診療所と同様にし、配分財源の1割(160億円)をあて、残り9割(1,440億円)を使い「入院料」全体を2%引き上げ補填、というもの。また、歯科は(4)初診料16点、再診料3点の補填となっている。

 この案に基づき、社会医療診療行為別調査(平成24年)の数値を利用し補填額の財政試算をすると、診療所は(1)初診料232.9億円、(2)再診料232.8億円、(3)有床診療所入院基本料16.0億円で合計は481.7億円であり、配分された600億円との差額は120億円、実に20%に及ぶ。つまり財源の8割しか充てられていない。残余を補完的に個別項目に充当としているが、「補完」にしては大き過ぎる。

 病院は、(1)初・再診料で113.7億円、(2)入院料で894.4億円であり、双方とも配分予定額の71.0%、62.1%と低く、合計は1,008.1億円で配分された1,600億円とのギャップは590億円で充当率は63.0%に過ぎない。

 これら医科の補填額の合計は1,489.8億円で、補填額2,200億円との差は710億円と大きく、充当率は67.7%であり、7割程度しか充てられていない。

 歯科の補填額は、初診料104.7億円、再診料80.8億円の合計185.5億円で配分された200億円との差は15億円で充当率は92.7%となるが、からくりがある。補填額が約200億円とされているが、改定率から計算する補填額は250億円相当であり、ギャップは65億円で充当率は74.2%。歯科も7割程度しか充てられていないのである。

 消費税の補填分は財務省の1.23%を覆し厚労省の1.36%の主張が適ったとされるが、以上に見たように点数配分は補填額の9割にも満たず財務省水準にも達していない(1.23/1.36=0.9)。

 中医協分科会の資料は十億円単位での財源は明示しておらず、当会の照会に財務省も厚労省も回答を濁している。今次改定は、補填分を含んだトータルで0.1%、410億円でしかない。改定率は小数点第2位、つまり十億円単位の数字の攻防の末、決定されている。十億円単位の数字を誠実に提示し、「透明性」を図るべきである。

 補填額と点数配分案の「差額」は、診療所で初診料2点、再診料1点の追加補填、病院で初診料1点、再診料1点、入院料1%の追加補填に相当する。歯科では初診料1点、再診料2点に相当する。

 消費税8%で医療機関の「損税」は増加する。医療機関経営を支える補填の誠実な実行を求める。

2014年1月14日

◆中医協・費税分科会の「案2」に基づく財政試算と補填財源とのギャップ

案2

回数・点数(現行)(年間)

必要額

配分額

差額

充当率

診療所

初診料

12点

回数

16,176,971×12

232.9億円

再診料

3点

回数

64,674,531×12

232.8億円

有床診療所入院基本料

2%

点数

665,020,907×12

16.0億円

合計

481.7億円

約600億円

▲120億円

80.2%

病院

初診料

12点

回数

4,215,206×12

60.7億円

再診料

3点

回数

14,714,003×12

53.0億円

入院料

2%

点数

37,264,872,847×12

894.4億円

合計

1,008.1億円

約1,600億円

▲590億円

63.0%

合計

1,489.8億円

約2,200億円

▲710億円

67.7%

案2

回数・点数(現行)(年間)

必要額

配分額

差額

充当率

歯科

初診料

16点

回数

5,451,852×12

104.7億円

再診料

3点

回数

22,449,641×12

80.8億円

合計

185.5億円

約200億円

▲15億円

92.7%

*1) 回数・点数は平成24年社会医療診療行為別調査より。

*2) 「案2」の配点、配分額は中医協資料より。