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2021/10/7 政策部長談話 「歯科材料・金パラの価格改定ルール議論の歪曲・矮小化を排し根本論議を」
歯科材料・金パラの価格改定ルール議論の歪曲・矮小化を排し根本論議を
神奈川県保険医協会
政策部長 磯崎 哲男
「逆ザヤ」解決の根本議論の堅持を
歯科材料の金銀パラジウム合金(金パラ)の価格決定ルールの根本的な見直し論議が7月21日に中医協総会で始まったが、9月15日の総会で「令和4年度診療報酬改定に係る議論の中間とりまとめについて」として出された「議論の概要」では、実際の議論が十分に反映されずに後退感が漂っている。
貴金属高騰による市場実勢価格と公定価格との逆転、発生する「逆ザヤ」の解決に向け、7月21日に提示されたゼロベースでの制度見直しの機運を無にしないよう、関係方面の尽力を強く求める。
日歯・林常務理事発言「後追いの仕組みでは限界」が抜本的制度構築の出発点
7月21日の中医協総会で提示された論点、「歯科用貴金属材料の基準材料価格改定についてどのように考えるか」は、金パラの価格決定ルールへの根本的な問いである。これに対し、日本歯科医師会常務理事の林正純委員は、「後追いの仕組みでは限界があり、抜本的な制度そのものの検討も必要ではないか」、とし、「より現場の実態を反映できる制度設計の構築」への検討を求め事態が動き出した。
しかし、過日の「中間とりまとめ」として出された「議論の概要」では、金パラ議論の「主な意見」として、①「随時改定には3か月前の平均素材価格を用いているが、このいわゆるタイムラグについて、より直近の平均素材価格を反映できる制度の構築や、随時改定の頻度について、検討する必要がある」、②「診療報酬改定時に用いる市場実勢価格の調査についても、より精度を高めるようにお願いする」、の2点しか記載がない。林委員の発言の肝心の要、「抜本的な制度そのものの検討」が抜けている。
しかもこの項目の見出しが「歯科用貴金属の随時改定について」となっており、7月21日の表題「歯科用貴金属材料の基準材料価格改定について」からの、議論の限局化、矮小化の思惑がみてとれる。
確かに、7月7日の中医協で挙げられた次期診療報酬改定の「主なテーマ(予定)」の「個別事項」の予定題目は、「歯科用貴金属の随時改定」となっていた。が、本番の7月21日の議論テーマは、先述の根本的な制度構築のためのゼロベースからの論点提示へと変化を見せ、議論に入っている。この一連の動きは、前回改定の宿題になかったテーマが突然設定され、腰をすえた論議へと仕切り直しがされたということである。歯科界の期待が水泡に帰すことのないよう、抜本的な制度そのものの検討を、改めて強く求める。
一般報道も金パラ「逆ざや」解消を注目 当座の対応に偏せず、根本論議を大切に
来春実施との時間的兼ね合いで、①随時改定の頻度を3か月から2か月へと短縮することや、②素材価格の変動幅を要件とせずに随時改定する等の、「リアルタイム改定」も巷でいわれている。しかし前進策ではあっても、「後追いの仕組み」であり、逆ザヤの補填はなされず根本的な解決にはならない。
この問題に関し、日本経済新聞は「銀歯の「逆ざや」歯科医なお困惑/貴金属高騰一服も解消せず/公定価格制度 見直し議論も」との見出しで今年9月22日に記事を掲載し関心を寄せている。記事は「現行制度をどのように変えれば「逆ざや」が頻繁に生じず、患者の負担も重くならない仕組みを作れるのか」と注目し、「歯科医側も有効な解決策を示していくことが重要だ」と結んでいる。
われわれはこの3月に、過去実績を踏まえ、通常改定で「逆ザヤ」にならない「高値」水準(通常改定の基準値の1.5倍)を設定し、市場変動を踏まえ減額補正をこまめに行い調整する方法(「超過価格設定&事後調整方式」)を提案した。減額補正の「方法論」や患者負担問題もセットで議論となる。
ほかにも、年度単位での逆ザヤ分の精算補填や、貴金属の素材価格の変動に応じた保険給付の月単位の調整支払いなど技術的にも可能な次善策も考え得る。根本議論の機会を棒に振るのは禁物である。
当座の対応で終止せずに根本論議は握って離さず、結論に至らない際には、中医協の保険医療材料専門部会の下、「歯科用貴金属価格検討委員会」を設置するなど継続議論の担保は最低限築くべきである。
薬価の保管・損耗分等の考慮と同様に、金パラも市場実勢価格の加重平均値に、一定幅4%が加算されている。これが素材価格の上昇局面でも最低限、担保されることは必須である。
われわれは、金パラ「逆ザヤ」解消となる価格改定ルールの設定と根本議論を改めて強く求める。
2021年10月7日
歯科材料・金パラの価格改定ルール議論の歪曲・矮小化を排し根本論議を
神奈川県保険医協会
政策部長 磯崎 哲男
「逆ザヤ」解決の根本議論の堅持を
歯科材料の金銀パラジウム合金(金パラ)の価格決定ルールの根本的な見直し論議が7月21日に中医協総会で始まったが、9月15日の総会で「令和4年度診療報酬改定に係る議論の中間とりまとめについて」として出された「議論の概要」では、実際の議論が十分に反映されずに後退感が漂っている。
貴金属高騰による市場実勢価格と公定価格との逆転、発生する「逆ザヤ」の解決に向け、7月21日に提示されたゼロベースでの制度見直しの機運を無にしないよう、関係方面の尽力を強く求める。
日歯・林常務理事発言「後追いの仕組みでは限界」が抜本的制度構築の出発点
7月21日の中医協総会で提示された論点、「歯科用貴金属材料の基準材料価格改定についてどのように考えるか」は、金パラの価格決定ルールへの根本的な問いである。これに対し、日本歯科医師会常務理事の林正純委員は、「後追いの仕組みでは限界があり、抜本的な制度そのものの検討も必要ではないか」、とし、「より現場の実態を反映できる制度設計の構築」への検討を求め事態が動き出した。
しかし、過日の「中間とりまとめ」として出された「議論の概要」では、金パラ議論の「主な意見」として、①「随時改定には3か月前の平均素材価格を用いているが、このいわゆるタイムラグについて、より直近の平均素材価格を反映できる制度の構築や、随時改定の頻度について、検討する必要がある」、②「診療報酬改定時に用いる市場実勢価格の調査についても、より精度を高めるようにお願いする」、の2点しか記載がない。林委員の発言の肝心の要、「抜本的な制度そのものの検討」が抜けている。
しかもこの項目の見出しが「歯科用貴金属の随時改定について」となっており、7月21日の表題「歯科用貴金属材料の基準材料価格改定について」からの、議論の限局化、矮小化の思惑がみてとれる。
確かに、7月7日の中医協で挙げられた次期診療報酬改定の「主なテーマ(予定)」の「個別事項」の予定題目は、「歯科用貴金属の随時改定」となっていた。が、本番の7月21日の議論テーマは、先述の根本的な制度構築のためのゼロベースからの論点提示へと変化を見せ、議論に入っている。この一連の動きは、前回改定の宿題になかったテーマが突然設定され、腰をすえた論議へと仕切り直しがされたということである。歯科界の期待が水泡に帰すことのないよう、抜本的な制度そのものの検討を、改めて強く求める。
一般報道も金パラ「逆ざや」解消を注目 当座の対応に偏せず、根本論議を大切に
来春実施との時間的兼ね合いで、①随時改定の頻度を3か月から2か月へと短縮することや、②素材価格の変動幅を要件とせずに随時改定する等の、「リアルタイム改定」も巷でいわれている。しかし前進策ではあっても、「後追いの仕組み」であり、逆ザヤの補填はなされず根本的な解決にはならない。
この問題に関し、日本経済新聞は「銀歯の「逆ざや」歯科医なお困惑/貴金属高騰一服も解消せず/公定価格制度 見直し議論も」との見出しで今年9月22日に記事を掲載し関心を寄せている。記事は「現行制度をどのように変えれば「逆ざや」が頻繁に生じず、患者の負担も重くならない仕組みを作れるのか」と注目し、「歯科医側も有効な解決策を示していくことが重要だ」と結んでいる。
われわれはこの3月に、過去実績を踏まえ、通常改定で「逆ザヤ」にならない「高値」水準(通常改定の基準値の1.5倍)を設定し、市場変動を踏まえ減額補正をこまめに行い調整する方法(「超過価格設定&事後調整方式」)を提案した。減額補正の「方法論」や患者負担問題もセットで議論となる。
ほかにも、年度単位での逆ザヤ分の精算補填や、貴金属の素材価格の変動に応じた保険給付の月単位の調整支払いなど技術的にも可能な次善策も考え得る。根本議論の機会を棒に振るのは禁物である。
当座の対応で終止せずに根本論議は握って離さず、結論に至らない際には、中医協の保険医療材料専門部会の下、「歯科用貴金属価格検討委員会」を設置するなど継続議論の担保は最低限築くべきである。
薬価の保管・損耗分等の考慮と同様に、金パラも市場実勢価格の加重平均値に、一定幅4%が加算されている。これが素材価格の上昇局面でも最低限、担保されることは必須である。
われわれは、金パラ「逆ザヤ」解消となる価格改定ルールの設定と根本議論を改めて強く求める。
2021年10月7日