神奈川県保険医協会とは
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医療運動部会ニュース 「ジェネリック切替え誘導事業の是正を要求 厚労省『医療費分析の一環』?と強弁」
ジェネリック切替え誘導事業の是正を要求
厚労省「医療費分析の一環」?と強弁
患者との信頼関係壊す策動に監督責任放棄
神奈川県保険医協会はNTTデータが事業展開をはじめた、患者向けのジェネリック切り替え通知に関し12月8日厚労省と懇談を行い、行政指導と是正通知を求める要望書を提出した。厚労省は保険局保険課・安済氏が対応、協会からは池川医療運動部会長ほか3名が赴いた。懇談では協会より、この事業が医師と患者の信頼関係を壊す点を問題視。しかし、厚労省は「問題ない」と一点張り。保険者による「医療費分析」の一環だとの滅茶苦茶な理屈に終始した。
NTTデータの事業は「『ジェネリック医薬品促進通知書』提供サービス」といい医療保険者向けに4月に開始した。これは、保険者が管理する患者レセプト情報を基に、処方された医薬品でジェネリックに切り替え可能なものの薬剤名と価格、減額効果の医療機関別のリストを「通知書」として患者個別に作成。保険者が患者にこれを送付し、患者から医師に切り替えを申し出させ、医療費を削減しようというもの。A4版の「通知書」には、「ジェネリックに切り替えると最大4,885円安くなります」と大文字標記し誘導している。
「安い」優先のジェネ切替は治療効果損ねる
厚労省ルール逸脱のNTT事業の是正を要求
この事業は1)ジェネリックは玉石混交の現状であり、2)経済性を優先させたジェネリック切り替えは治療上の有効性を損う、3)患者負担軽減はさほどなされない、4)医師の処方権の侵害、5)患者と医師の信頼関係を壊す―など問題が多い。
懇談では、1)健保法上、保険診療に関し保険者が患者個別に提供できる文書は「医療費通知」以外にはなく、2)厚労省通知(保険発41号、42号)で患者の秘密保護、医師と患者の信頼関係を壊さないことが規定されており、3)薬剤名、診療科名の通知は禁じていること、4)「健保組合における個人情報の徹底」通知および「個人情報に関する遵守基準」にも反する―と示し、見解を質した。
結果通知も「医療費分析」? 患者同意も不要
厚労省「信頼関係の破壊は関知しない」
これに対し厚労省は、「NTTの事業は医療費通知ではないので問題はない」と発言。また理由として1)個人情報保護法で、事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データを委託する場合は、第三者への提供にはあたらず、2)個人情報取扱いに関する「ガイドライン」で、健保組合はレセプト点検、医療費分析、保健指導が本人の同意を得ずに委託可能、3)今回のジェネ切り替え通知は保険者による「医療費分析」だ―と回答した。
池川部会長は、1)レセプトから医療費を分析することと、患者個別に結果を通知することは別モノ、2)医療費分析はマクロをさし、このような患者個別の分析は該当しない―と追及。厚労省は、医療費抑制の下、保険者が保健事業の一環として行なっており、患者に通知することも含めて「医療費分析」だと強弁。
協会から医療費通知は、医師と患者の関係性を損わないことが前提と質しても、「患者のもつ情報が増える」「ジェネの切り替えを申し出るのは患者の判断。医薬品を変更せずにそのまま処方をするのなら医師が説明すればよい」「信頼関係が崩れることがあるかもしれないが関知しない」と開き直った。
リスクの情報提供なし 金銭の多寡のみ通知
安いだけでの、医療機関誘導も可能に!!
池川部会長が、医師の処方権侵害の問題を衝き、ジェネリックのリスクを通知しない金銭の多寡だけのこの通知で、現場の混乱が生じた責任は誰が取るのかと指摘したのに対しても、「保険者の側が実施していること」と逃げ、制度の健全運営の管轄責任や健保組合の監督官庁であることを忘れたかの発言に終始。
患者情報が他者に渡ることを患者本人は承知していない点を指摘すると、第三者提供にあたらないから問題ないと答弁。
協会からは、NTTデータのジェネ切り替え通知が、医療費分析の名目で合法化されるのであれば、レセプトを基に個々の医療機関の手術件数、検査の傾向など全ての情報を、保険者は個別通知できることになるが、そういうことかと追及。これに対し厚労省は他法との関連によると明言を避けた。
厚労省の今回の見解は、今後、医療機関ごとの平均点数の通知による患者誘導など、質や安全性を無視した安価な医療の保険者による患者強要へ発展する危険性が高い。
2006年12月19日
ジェネリック切替え誘導事業の是正を要求
厚労省「医療費分析の一環」?と強弁
患者との信頼関係壊す策動に監督責任放棄
神奈川県保険医協会はNTTデータが事業展開をはじめた、患者向けのジェネリック切り替え通知に関し12月8日厚労省と懇談を行い、行政指導と是正通知を求める要望書を提出した。厚労省は保険局保険課・安済氏が対応、協会からは池川医療運動部会長ほか3名が赴いた。懇談では協会より、この事業が医師と患者の信頼関係を壊す点を問題視。しかし、厚労省は「問題ない」と一点張り。保険者による「医療費分析」の一環だとの滅茶苦茶な理屈に終始した。
NTTデータの事業は「『ジェネリック医薬品促進通知書』提供サービス」といい医療保険者向けに4月に開始した。これは、保険者が管理する患者レセプト情報を基に、処方された医薬品でジェネリックに切り替え可能なものの薬剤名と価格、減額効果の医療機関別のリストを「通知書」として患者個別に作成。保険者が患者にこれを送付し、患者から医師に切り替えを申し出させ、医療費を削減しようというもの。A4版の「通知書」には、「ジェネリックに切り替えると最大4,885円安くなります」と大文字標記し誘導している。
「安い」優先のジェネ切替は治療効果損ねる
厚労省ルール逸脱のNTT事業の是正を要求
この事業は1)ジェネリックは玉石混交の現状であり、2)経済性を優先させたジェネリック切り替えは治療上の有効性を損う、3)患者負担軽減はさほどなされない、4)医師の処方権の侵害、5)患者と医師の信頼関係を壊す―など問題が多い。
懇談では、1)健保法上、保険診療に関し保険者が患者個別に提供できる文書は「医療費通知」以外にはなく、2)厚労省通知(保険発41号、42号)で患者の秘密保護、医師と患者の信頼関係を壊さないことが規定されており、3)薬剤名、診療科名の通知は禁じていること、4)「健保組合における個人情報の徹底」通知および「個人情報に関する遵守基準」にも反する―と示し、見解を質した。
結果通知も「医療費分析」? 患者同意も不要
厚労省「信頼関係の破壊は関知しない」
これに対し厚労省は、「NTTの事業は医療費通知ではないので問題はない」と発言。また理由として1)個人情報保護法で、事業者が利用目的の達成に必要な範囲内において個人データを委託する場合は、第三者への提供にはあたらず、2)個人情報取扱いに関する「ガイドライン」で、健保組合はレセプト点検、医療費分析、保健指導が本人の同意を得ずに委託可能、3)今回のジェネ切り替え通知は保険者による「医療費分析」だ―と回答した。
池川部会長は、1)レセプトから医療費を分析することと、患者個別に結果を通知することは別モノ、2)医療費分析はマクロをさし、このような患者個別の分析は該当しない―と追及。厚労省は、医療費抑制の下、保険者が保健事業の一環として行なっており、患者に通知することも含めて「医療費分析」だと強弁。
協会から医療費通知は、医師と患者の関係性を損わないことが前提と質しても、「患者のもつ情報が増える」「ジェネの切り替えを申し出るのは患者の判断。医薬品を変更せずにそのまま処方をするのなら医師が説明すればよい」「信頼関係が崩れることがあるかもしれないが関知しない」と開き直った。
リスクの情報提供なし 金銭の多寡のみ通知
安いだけでの、医療機関誘導も可能に!!
池川部会長が、医師の処方権侵害の問題を衝き、ジェネリックのリスクを通知しない金銭の多寡だけのこの通知で、現場の混乱が生じた責任は誰が取るのかと指摘したのに対しても、「保険者の側が実施していること」と逃げ、制度の健全運営の管轄責任や健保組合の監督官庁であることを忘れたかの発言に終始。
患者情報が他者に渡ることを患者本人は承知していない点を指摘すると、第三者提供にあたらないから問題ないと答弁。
協会からは、NTTデータのジェネ切り替え通知が、医療費分析の名目で合法化されるのであれば、レセプトを基に個々の医療機関の手術件数、検査の傾向など全ての情報を、保険者は個別通知できることになるが、そういうことかと追及。これに対し厚労省は他法との関連によると明言を避けた。
厚労省の今回の見解は、今後、医療機関ごとの平均点数の通知による患者誘導など、質や安全性を無視した安価な医療の保険者による患者強要へ発展する危険性が高い。
2006年12月19日