神奈川県保険医協会とは
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2011/3/28 地域医療部長談話「国の責任で患者・医療機関を計画停電から守れ より強力な節電対策への転換を」
国の責任で患者・医療機関を計画停電から守れ
より強力な節電対策への転換を
神奈川県保険医協会
地域医療対策部長 桑島 政臣
犠牲者が3万人を超えることがほぼ確実になった痛ましい災害発生から、半月が経ちました。亡くなられた方とそのご遺族、避難生活を余儀なくされている多くの被災者の皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
首都圏においては、福島第一原発の事故に起因する計画停電が、産業界のみならず、医療機関に対しても休診、救急患者の受け入れ困難、入院患者・在宅患者が命を落とすなど、深刻な影響を及ぼしています。我々医療者は患者の命を預かる立場から、より強力な節電推進策による医療機関の停電の回避を求めます。
多くの医療機関が現在、計画停電によって診療時間短縮や休診を余儀なくされています。停電下での診療は、レントゲン写真が撮れない、検査ができない等さまざまな支障をきたしており、停電実施医療機関から患者の流出も起こっています。大規模病院では、突然の停電に対する発電機と必要な燃料を一定準備されているものの、今回のような繰り返しの停電は想定されていません。医療機関において自家発電機の需要が急増していますが、燃料の供給不足や被災地優先のため、首都圏の開業医が入手することは困難な状況です。
医療IT化の盲点もはっきりとしてきました。国は従来から医療機関のIT化、電子カルテの導入を推進してきたため、すでに病院の20%、医科診療所の17%に電子カルテが普及しています。しかし計画停電下では、これらの医療機関は、患者の処方履歴が確認できない、会計ができない等で休診せざるをえません。
患者への影響の深刻な事例として、一つは人工透析患者が挙げられます。厚労省からの迅速な通知発出により、被災地から受け入れ先への患者紹介が順調に行われたことは評価できます。しかし、患者を受け入れた医療機関でも計画停電が行われたため、透析スケジュールの変更や透析時間の短縮、中には透析機器が損傷した事例が出ています。せっかく確保された患者の命を危険にさらす事態は、絶対に避けなければなりません。また在宅医療の現場からも、人工呼吸器の患者が消防団から発電機を借りたり、車から電気を引くなどして綱渡りの対応を迫られた事例、在宅酸素療法の患者が停電により酸素供給が停止し、状態が悪化し死亡した事例―など、深刻な事例が報告されています。
計画停電に医療機関が振り回される状態が長期にわたって続けば、医療機関は疲弊し、停電地域からの患者流出に伴う医療空白、患者の一極集中による一次医療と高次医療の機能麻痺など、地域医療の崩壊に繋がります。放射能の問題を除けば普通の社会生活が営める地域で、患者が医療にかかりにくい状況が継続することは回避すべきです。企業活動の停滞も深刻ですが、地域住民の命に直結する問題だけに、事態は深刻です。
インフルエンザ再流行の兆しもあり、事態は急を要します。現在の計画停電は、東京電力の「電気供給約款」に基づいて行われていますが、国は今後出てくるであろう補償問題について東電任せにすることなく、電気事業法27条(電気の使用制限)の発令も視野に入れ、国としての補償の姿勢を明らかにすべきと考えます。
我々医療者も、節電することは当然のこととして協力を惜しみません。関係諸氏の英知の結集を強く望みます。
2011年3月28日
国の責任で患者・医療機関を計画停電から守れ
より強力な節電対策への転換を
神奈川県保険医協会
地域医療対策部長 桑島 政臣
犠牲者が3万人を超えることがほぼ確実になった痛ましい災害発生から、半月が経ちました。亡くなられた方とそのご遺族、避難生活を余儀なくされている多くの被災者の皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
首都圏においては、福島第一原発の事故に起因する計画停電が、産業界のみならず、医療機関に対しても休診、救急患者の受け入れ困難、入院患者・在宅患者が命を落とすなど、深刻な影響を及ぼしています。我々医療者は患者の命を預かる立場から、より強力な節電推進策による医療機関の停電の回避を求めます。
多くの医療機関が現在、計画停電によって診療時間短縮や休診を余儀なくされています。停電下での診療は、レントゲン写真が撮れない、検査ができない等さまざまな支障をきたしており、停電実施医療機関から患者の流出も起こっています。大規模病院では、突然の停電に対する発電機と必要な燃料を一定準備されているものの、今回のような繰り返しの停電は想定されていません。医療機関において自家発電機の需要が急増していますが、燃料の供給不足や被災地優先のため、首都圏の開業医が入手することは困難な状況です。
医療IT化の盲点もはっきりとしてきました。国は従来から医療機関のIT化、電子カルテの導入を推進してきたため、すでに病院の20%、医科診療所の17%に電子カルテが普及しています。しかし計画停電下では、これらの医療機関は、患者の処方履歴が確認できない、会計ができない等で休診せざるをえません。
患者への影響の深刻な事例として、一つは人工透析患者が挙げられます。厚労省からの迅速な通知発出により、被災地から受け入れ先への患者紹介が順調に行われたことは評価できます。しかし、患者を受け入れた医療機関でも計画停電が行われたため、透析スケジュールの変更や透析時間の短縮、中には透析機器が損傷した事例が出ています。せっかく確保された患者の命を危険にさらす事態は、絶対に避けなければなりません。また在宅医療の現場からも、人工呼吸器の患者が消防団から発電機を借りたり、車から電気を引くなどして綱渡りの対応を迫られた事例、在宅酸素療法の患者が停電により酸素供給が停止し、状態が悪化し死亡した事例―など、深刻な事例が報告されています。
計画停電に医療機関が振り回される状態が長期にわたって続けば、医療機関は疲弊し、停電地域からの患者流出に伴う医療空白、患者の一極集中による一次医療と高次医療の機能麻痺など、地域医療の崩壊に繋がります。放射能の問題を除けば普通の社会生活が営める地域で、患者が医療にかかりにくい状況が継続することは回避すべきです。企業活動の停滞も深刻ですが、地域住民の命に直結する問題だけに、事態は深刻です。
インフルエンザ再流行の兆しもあり、事態は急を要します。現在の計画停電は、東京電力の「電気供給約款」に基づいて行われていますが、国は今後出てくるであろう補償問題について東電任せにすることなく、電気事業法27条(電気の使用制限)の発令も視野に入れ、国としての補償の姿勢を明らかにすべきと考えます。
我々医療者も、節電することは当然のこととして協力を惜しみません。関係諸氏の英知の結集を強く望みます。
2011年3月28日