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2012/11/9 医療運動部会長談話「高齢者2割負担を掲げた財政審議会に抗す 窓口負担ゼロで受診回復と将来不安払拭し内需拡大を」

高齢者2割負担を掲げた財政審議会に抗す

窓口負担ゼロで受診回復と将来不安払拭し内需拡大を

神奈川県保険医協会

医療運動部会長  野本 哲夫


 患者が経済的理由から受診をためらい、ついには治療をあきらめる。この受診抑制、治療中断が日々、増えている。1997年に窓口2割負担となって以降、顕著となり、2002年の3割負担で決定的となった。この下、財政制度等審議会が早くも高齢者(70~74歳)の2割負担に合意。生活保護の医療扶助へ一部負担の導入が検討され、社会保障の理念の否定、社会保障の底割れが現実味を帯びてきている。

 われわれは「いつでも、どこでも、だれでも」が受診できる皆保険の原点にたち、窓口負担ゼロ、窓口負担解消が、受診を回復させ病気や病状の改善維持につながり、そのことが将来不安を払拭し内需拡大の梃となっていくと考える。この実現を強く求めるものである。

 当協会は2007年に深刻な受診抑制、孤立死や無保険状態の増加を踏まえ、「医療費の窓口負担ゼロの会」を立ち上げ窓口負担の解消を提唱し、現在までに全国3万名の賛同が寄せられている。大橋巨泉氏や闘病経験ある山田邦子氏など著名人40名の支持も得られ、日々、賛同が広がっている。

 1997年から殆どの年齢階級で受療率(人口10万対比患者数)は下降線を辿っている。患者調査(2008年)では一日あたりの患者数が外来で22万7千人、入院で7万人の減少となっており、社会保障人口問題調査(2007年)では経済的理由での未受診者が252万人(2007年)に上ると判明している。近く新たな患者調査(2011年)が発表となるが、医療費の動向(受診日数)からは回復の兆しは見えない。

 それもそのはずである。サラリーマンの平均年収は健保2割負担導入の1997年の467万円をピークに下降線をたどり2011年には409万円と60万円も大幅に下落(国税庁発表)している。また非正規労働者の割合も当時の20%から現在は34%、1,755万人へと大幅に増えているのである(厚労省HP)。

 おりしも今年7月に日医が外来患者に行った窓口負担調査では、3割負担で66.5%の患者が、2割負担で58.3%の患者が、過重感を訴えており、これが患者の正直な実感である。

 この秋、予算編成の「司令塔」の財政制度等審議会で、高齢者(70-74歳)の2割負担引き上げ、医療扶助の一部負担導入が登場した。会長は昨年、社会保障審議会で日本の窓口負担は「先進国で最も低い」と発言した吉川・東大教授である。民主党の重鎮・仙谷議員からも最近「窓口負担増は必要」と耳を疑う暴論が唱えられている。

 日医の調査では過去一年間に経済的理由により受診しなかった患者は、2割負担、3割負担の双方とも10%以上あった。つまり、日医の調査は2割負担への軽減では負担感の解消、受診の回復につながらないことを教えている。当会が行った横浜駅前での調査では回答者の9割が窓口1割負担以下を求めており、窓口負担ゼロは6割を占めている。この傾向は3年連続で一貫している。被災地では窓口負担ゼロでの受診回復が既に実証されている。

 窓口負担ゼロで、潜在的な医療需要の回復があっても過度な受診はない。過去の歴史や現在の医療費無料制度が示しており、医療提供も保険ルールによる制限や医療常識に則った保険給付の審査でチェックされる仕組みがあり乱診乱療の懸念はあたらない。

 社会保障費削減、患者の負担増では内需の冷え込みは好転せず一体改革がいう「財政再建」は画餅に帰す

 窓口負担ゼロ、窓口負担解消の実現に向け、関係各方面の尽力を強く求める。

2012年11月9日

 

高齢者2割負担を掲げた財政審議会に抗す

窓口負担ゼロで受診回復と将来不安払拭し内需拡大を

神奈川県保険医協会

医療運動部会長  野本 哲夫


 患者が経済的理由から受診をためらい、ついには治療をあきらめる。この受診抑制、治療中断が日々、増えている。1997年に窓口2割負担となって以降、顕著となり、2002年の3割負担で決定的となった。この下、財政制度等審議会が早くも高齢者(70~74歳)の2割負担に合意。生活保護の医療扶助へ一部負担の導入が検討され、社会保障の理念の否定、社会保障の底割れが現実味を帯びてきている。

 われわれは「いつでも、どこでも、だれでも」が受診できる皆保険の原点にたち、窓口負担ゼロ、窓口負担解消が、受診を回復させ病気や病状の改善維持につながり、そのことが将来不安を払拭し内需拡大の梃となっていくと考える。この実現を強く求めるものである。

 当協会は2007年に深刻な受診抑制、孤立死や無保険状態の増加を踏まえ、「医療費の窓口負担ゼロの会」を立ち上げ窓口負担の解消を提唱し、現在までに全国3万名の賛同が寄せられている。大橋巨泉氏や闘病経験ある山田邦子氏など著名人40名の支持も得られ、日々、賛同が広がっている。

 1997年から殆どの年齢階級で受療率(人口10万対比患者数)は下降線を辿っている。患者調査(2008年)では一日あたりの患者数が外来で22万7千人、入院で7万人の減少となっており、社会保障人口問題調査(2007年)では経済的理由での未受診者が252万人(2007年)に上ると判明している。近く新たな患者調査(2011年)が発表となるが、医療費の動向(受診日数)からは回復の兆しは見えない。

 それもそのはずである。サラリーマンの平均年収は健保2割負担導入の1997年の467万円をピークに下降線をたどり2011年には409万円と60万円も大幅に下落(国税庁発表)している。また非正規労働者の割合も当時の20%から現在は34%、1,755万人へと大幅に増えているのである(厚労省HP)。

 おりしも今年7月に日医が外来患者に行った窓口負担調査では、3割負担で66.5%の患者が、2割負担で58.3%の患者が、過重感を訴えており、これが患者の正直な実感である。

 この秋、予算編成の「司令塔」の財政制度等審議会で、高齢者(70-74歳)の2割負担引き上げ、医療扶助の一部負担導入が登場した。会長は昨年、社会保障審議会で日本の窓口負担は「先進国で最も低い」と発言した吉川・東大教授である。民主党の重鎮・仙谷議員からも最近「窓口負担増は必要」と耳を疑う暴論が唱えられている。

 日医の調査では過去一年間に経済的理由により受診しなかった患者は、2割負担、3割負担の双方とも10%以上あった。つまり、日医の調査は2割負担への軽減では負担感の解消、受診の回復につながらないことを教えている。当会が行った横浜駅前での調査では回答者の9割が窓口1割負担以下を求めており、窓口負担ゼロは6割を占めている。この傾向は3年連続で一貫している。被災地では窓口負担ゼロでの受診回復が既に実証されている。

 窓口負担ゼロで、潜在的な医療需要の回復があっても過度な受診はない。過去の歴史や現在の医療費無料制度が示しており、医療提供も保険ルールによる制限や医療常識に則った保険給付の審査でチェックされる仕組みがあり乱診乱療の懸念はあたらない。

 社会保障費削減、患者の負担増では内需の冷え込みは好転せず一体改革がいう「財政再建」は画餅に帰す

 窓口負担ゼロ、窓口負担解消の実現に向け、関係各方面の尽力を強く求める。

2012年11月9日