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医療運動部会ニュース 「高齢者担当医制(=登録医制)、開業医の8割が反対 総合診療計画は無意味 緊急アンケートで判明」
高齢者担当医制(=登録医制)、開業医の8割が反対
総合診療計画は無意味 9割が否定
4日間の研修、6割が受講の意志なし 緊急アンケートで判明
4月の診療報酬改定で「高齢者担当医制」(=事実上の“登録医制”)の導入が中医協で示されている。この問題に関し医療現場の声の把握を目的に、当協会では緊急アンケートを医科会員(3,210名)に実施(1月17日?25日、回答268件)。8割の会員が制度導入に「反対」していることが判明した。
この高齢者担当医制とは、4日間の研修を受けた医師に届け出をさせ、75歳以上の患者の「高齢者担当医」とし、患者の年間「総合診療計画」を患者の同意・署名のもとに作成し、その患者に対し包括払いの診療報酬を1医療機関のみが算定する制度。患者と医療機関を「1対1」の関係性に固定することを想定している。
アンケート項目は、1)制度への賛否、2)研修の受講意向、3)計画作成の評価、4)初再診料の操作の4点。以下の概要をご覧願いたい。
研修の意味、診療が4日間ストップすることへ疑問続出
1)高齢者担当医制度への賛否は、賛成4.8%、反対79.4%、どちらともいえない14.9%と反対が8割を占め、75歳での制度の線引きに疑問の声があった。
2)4日間の講習受講の意向は、全くない41.4%、あまりない18.7%と、合わせて6割(60.1%)が受講の意志がないと回答。また、どちらともいえない21.3%、少しある4.1%、ある12.3%と、「受講の意志あり」は2割を切っている(16.4%)。意見では「意味のある研修を行えるがどうか疑問」「4日間の研修は短すぎる」「何を研修させるのか知りませんが1日でも大丈夫なのでは」や「4日間診療をストップさせるのでしょうか」と疑問が続出。研修を受けるとの回答者は理由に「孫と一緒に来る高齢者に他に行きなさいと言いにくい」と挙げたものや「制度化されれば不本意ながら届け出ることになる」と消極的なものが目立った。
「診療計画」作成 良いは僅か3% 否定が大勢
3)年2回の血液検査、年1回の胸部レントゲン程度の診療を想定した「総合診療計画」の作成については、非常に問題がある70.5%、少し問題がある15.3%と問題性について、85.8%が指摘。一方、どちらともいえないは10.8%にとどまり、かなり良い2.2%、非常に良い0.7%と両方合わせても3%に満たず、医療現場では完全に否定している。
意見では「高齢者の個々人を考えると計画は無意味」「作成する時間などない。高齢者は予見不能」「長年通院している患者に計画を作成できるのか」「検査の回数規定は医師の裁量権侵害」「特に、糖尿病。ワーファリン内服者は毎月採血が必要。全て包括は問題あり」「肺炎などの場合、年2回の採血、年1回の胸部X?Pでは対応できない」「患者も束縛を感じ不安になるのでは」と、現場に即した異論が噴出している。
「再診を大切にするのが、老人医療だと思う」
4)後期高齢者の初診の引き上げと再診料の引き下げのセット提案については、賛成1.5%、反対81.0%、どちらともいえない15.7%、と多くは企図を見抜いている。
「初診の人などは少なく言語道断」「殆どが慢性疾患の再診だ」「これ以上いじらないで欲しい」「変更する根拠が不明確」との意見多く、「再診を大切にするのが、老人医療だと思う」と至言も寄せられている。
高齢者医療の無知に憤り 医師酷使で租診租療の懸念も 4割が自由意見を記述
自由意見欄には98件(36.4%)と、非常に多くが記載。「老人の医療の崩壊を招く」、「医療費抑制を目的とする登録医制だから反対」、「全体として形式すぎる」、「患者のフリーアクセスを奪うので反対」、「医療は商行為ではない。計画作成は客観的にすっきり見えるのだろうが、全て本末転倒」、「実施は不可能」、「主治医権の剥奪を伴っており、診療所は閉院に追い込まれる」、「高齢者医療はそんなに単純ではない」、「医師を酷使する案。租診租療になる」、「診療報酬をいじるより高齢者医療を無料にして欲しい」、「個人差が大きくちょっとした事で容易に合併症を引き起こす高齢者の特性を全く考慮に入れていない」、「事務手数が増えそう。介護保険の意見書で手一杯」、「今、3人の医師にかかっているが、この制度で非専門的な医師が全てを診れるのか、その責任は?との一般の投書も既にある」、「高齢者の健康状態は変わりやすく画一的な計画による診療は出来ない」「主治医を変えたい場合にどうするのか」、「75歳以上の患者に高度な医療を受けさせないのが厚労省の目的」「高齢者の慢性疾患管理に対し知識がなさすぎ」、「全員で研修のボイコットを」、「研修内容も不明、周知もない。制度の先行きが不安」、「非常に問題のある制度だが、国民にほとんど説明されていない」、と噴出。高齢者医療そのものへの不理解、認識不足を医学・医療の観点からの批判が大半を占めている。
(2008年1月30日)
高齢者担当医制(=登録医制)、開業医の8割が反対
総合診療計画は無意味 9割が否定
4日間の研修、6割が受講の意志なし 緊急アンケートで判明
4月の診療報酬改定で「高齢者担当医制」(=事実上の“登録医制”)の導入が中医協で示されている。この問題に関し医療現場の声の把握を目的に、当協会では緊急アンケートを医科会員(3,210名)に実施(1月17日?25日、回答268件)。8割の会員が制度導入に「反対」していることが判明した。
この高齢者担当医制とは、4日間の研修を受けた医師に届け出をさせ、75歳以上の患者の「高齢者担当医」とし、患者の年間「総合診療計画」を患者の同意・署名のもとに作成し、その患者に対し包括払いの診療報酬を1医療機関のみが算定する制度。患者と医療機関を「1対1」の関係性に固定することを想定している。
アンケート項目は、1)制度への賛否、2)研修の受講意向、3)計画作成の評価、4)初再診料の操作の4点。以下の概要をご覧願いたい。
研修の意味、診療が4日間ストップすることへ疑問続出
1)高齢者担当医制度への賛否は、賛成4.8%、反対79.4%、どちらともいえない14.9%と反対が8割を占め、75歳での制度の線引きに疑問の声があった。
2)4日間の講習受講の意向は、全くない41.4%、あまりない18.7%と、合わせて6割(60.1%)が受講の意志がないと回答。また、どちらともいえない21.3%、少しある4.1%、ある12.3%と、「受講の意志あり」は2割を切っている(16.4%)。意見では「意味のある研修を行えるがどうか疑問」「4日間の研修は短すぎる」「何を研修させるのか知りませんが1日でも大丈夫なのでは」や「4日間診療をストップさせるのでしょうか」と疑問が続出。研修を受けるとの回答者は理由に「孫と一緒に来る高齢者に他に行きなさいと言いにくい」と挙げたものや「制度化されれば不本意ながら届け出ることになる」と消極的なものが目立った。
「診療計画」作成 良いは僅か3% 否定が大勢
3)年2回の血液検査、年1回の胸部レントゲン程度の診療を想定した「総合診療計画」の作成については、非常に問題がある70.5%、少し問題がある15.3%と問題性について、85.8%が指摘。一方、どちらともいえないは10.8%にとどまり、かなり良い2.2%、非常に良い0.7%と両方合わせても3%に満たず、医療現場では完全に否定している。
意見では「高齢者の個々人を考えると計画は無意味」「作成する時間などない。高齢者は予見不能」「長年通院している患者に計画を作成できるのか」「検査の回数規定は医師の裁量権侵害」「特に、糖尿病。ワーファリン内服者は毎月採血が必要。全て包括は問題あり」「肺炎などの場合、年2回の採血、年1回の胸部X?Pでは対応できない」「患者も束縛を感じ不安になるのでは」と、現場に即した異論が噴出している。
「再診を大切にするのが、老人医療だと思う」
4)後期高齢者の初診の引き上げと再診料の引き下げのセット提案については、賛成1.5%、反対81.0%、どちらともいえない15.7%、と多くは企図を見抜いている。
「初診の人などは少なく言語道断」「殆どが慢性疾患の再診だ」「これ以上いじらないで欲しい」「変更する根拠が不明確」との意見多く、「再診を大切にするのが、老人医療だと思う」と至言も寄せられている。
高齢者医療の無知に憤り 医師酷使で租診租療の懸念も 4割が自由意見を記述
自由意見欄には98件(36.4%)と、非常に多くが記載。「老人の医療の崩壊を招く」、「医療費抑制を目的とする登録医制だから反対」、「全体として形式すぎる」、「患者のフリーアクセスを奪うので反対」、「医療は商行為ではない。計画作成は客観的にすっきり見えるのだろうが、全て本末転倒」、「実施は不可能」、「主治医権の剥奪を伴っており、診療所は閉院に追い込まれる」、「高齢者医療はそんなに単純ではない」、「医師を酷使する案。租診租療になる」、「診療報酬をいじるより高齢者医療を無料にして欲しい」、「個人差が大きくちょっとした事で容易に合併症を引き起こす高齢者の特性を全く考慮に入れていない」、「事務手数が増えそう。介護保険の意見書で手一杯」、「今、3人の医師にかかっているが、この制度で非専門的な医師が全てを診れるのか、その責任は?との一般の投書も既にある」、「高齢者の健康状態は変わりやすく画一的な計画による診療は出来ない」「主治医を変えたい場合にどうするのか」、「75歳以上の患者に高度な医療を受けさせないのが厚労省の目的」「高齢者の慢性疾患管理に対し知識がなさすぎ」、「全員で研修のボイコットを」、「研修内容も不明、周知もない。制度の先行きが不安」、「非常に問題のある制度だが、国民にほとんど説明されていない」、と噴出。高齢者医療そのものへの不理解、認識不足を医学・医療の観点からの批判が大半を占めている。
(2008年1月30日)