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2011/12/9 政策部長談話「再診料の2点引き上げ復元が道理 5分要件廃止でも外来管理加算の算定回数は増えず 誠実な対応を求める」

再診料の2点引き上げ復元が道理 

5分要件廃止でも外来管理加算の算定回数は増えず

誠実な対応を求める

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 前回の診療報酬改定で問題となった、外来管理加算のいわゆる「5分要件」の廃止による財政影響に関し、何ら変化がなかったことが中医協で明るみになっている。

 前回(平成22年度)診療報酬改定で、算定回数増との影響予測の下、診療所の再診料を71点(710円)から69点(690円)へと2点(20円)の引き下げを行っている。厚労省の調査結果を踏まえ、次期改定でこの「損失」分の復元の誠実な履行をわれわれは強く求める。

 

 外来管理加算の5分要件とは、医師の診察が5分以上という、機械的な「時間」の尺度を医療評価に採用したものである。2008年に導入されたこの要件は、医療現場に混乱を招き、しかもその論拠を医師による「診察」と医療機関がチーム対応する「診療」を混同した杜撰な調査に拠ったことが判明。2010年に廃止とされたが、その際、「外来管理加算の要件見直しに伴う費用増の予測困難性を鑑みれば、限られた財政枠の下では診療所の再診料は一定程度下げざるを得ないと判断した。具体的な水準については財政影響を考慮しつつ、69点とする」(2010.2.10中医協総会)とされたものである。

 

 既に明らかなように診療行為別調査(6月審査分)で診療所による外来管理加算の算定回数は、2010年度は27,766,524回であり、2009年度の27,776,868回からほとんど変わっていない。強いて言えば1万回(▲0.03%)の微減である。つまり、費用増の予測困難性の下で断行された引き下げは、理由がなかったこととなる。

 過日9月7日の中医協では診療報酬改定検証部会による外来管理加算の抽出調査の結果、"算定回数に変化なし"、が提示されたのに続き、10月12日には診療行為別調査の結果を報告。診療側の安達委員から、再診料の復元が道理との的確な指摘がなされている。

 

 そもそも、「5分要件」は前々回の診療報酬の改定時に、診療所から病院への財源移転の方策として導入された背景がある。しかし、診療所で200億円減額の当初予定が、結果的に想定を大幅に超過する1,200億円削減となり、年間1,000億円のギャップ、過誤削減が生じたことが発覚。2年間分の2,000億円の過誤精算、診療所への補填が必須だと、当会は前回改定時に指摘をしたが、何ら対応は取られなかった。前回改定は公称+0.19%だったが、後発医薬品使用が進んでいないとの理由で、改定率の枠外で異例の600億円減額精算がなされている。我田引水、対応は雲泥の差である。

 

 当然、診療所経営は厳しくなる。今回の中医協医療経済実態調査では、診療所(個人・入院収益なし)の損益差額は過去最大の▲14.5%(▲29.7万円/月)となり、とりわけ内科診療所では損益差額が▲17.4%と壊滅的である。

 厚労省は病院の外来分離に一層の力点を置き始めている。いまでさえ診療所は全国の外来患者の7割を見ており、それにも関わらず医療費は医科の31.0%に過ぎない。相応の経済評価は不可欠である。

 その第一歩として、道理のある誠実な対応、診療所の再診料の2点複元を改めて求めるとともに、厚労省保険局医療課の官僚諸氏には、論点提示は最低限の必然的な作業として求めるものである。

2011年12月9日

 

再診料の2点引き上げ復元が道理 

5分要件廃止でも外来管理加算の算定回数は増えず

誠実な対応を求める

神奈川県保険医協会

政策部長  桑島 政臣


 前回の診療報酬改定で問題となった、外来管理加算のいわゆる「5分要件」の廃止による財政影響に関し、何ら変化がなかったことが中医協で明るみになっている。

 前回(平成22年度)診療報酬改定で、算定回数増との影響予測の下、診療所の再診料を71点(710円)から69点(690円)へと2点(20円)の引き下げを行っている。厚労省の調査結果を踏まえ、次期改定でこの「損失」分の復元の誠実な履行をわれわれは強く求める。

 

 外来管理加算の5分要件とは、医師の診察が5分以上という、機械的な「時間」の尺度を医療評価に採用したものである。2008年に導入されたこの要件は、医療現場に混乱を招き、しかもその論拠を医師による「診察」と医療機関がチーム対応する「診療」を混同した杜撰な調査に拠ったことが判明。2010年に廃止とされたが、その際、「外来管理加算の要件見直しに伴う費用増の予測困難性を鑑みれば、限られた財政枠の下では診療所の再診料は一定程度下げざるを得ないと判断した。具体的な水準については財政影響を考慮しつつ、69点とする」(2010.2.10中医協総会)とされたものである。

 

 既に明らかなように診療行為別調査(6月審査分)で診療所による外来管理加算の算定回数は、2010年度は27,766,524回であり、2009年度の27,776,868回からほとんど変わっていない。強いて言えば1万回(▲0.03%)の微減である。つまり、費用増の予測困難性の下で断行された引き下げは、理由がなかったこととなる。

 過日9月7日の中医協では診療報酬改定検証部会による外来管理加算の抽出調査の結果、"算定回数に変化なし"、が提示されたのに続き、10月12日には診療行為別調査の結果を報告。診療側の安達委員から、再診料の復元が道理との的確な指摘がなされている。

 

 そもそも、「5分要件」は前々回の診療報酬の改定時に、診療所から病院への財源移転の方策として導入された背景がある。しかし、診療所で200億円減額の当初予定が、結果的に想定を大幅に超過する1,200億円削減となり、年間1,000億円のギャップ、過誤削減が生じたことが発覚。2年間分の2,000億円の過誤精算、診療所への補填が必須だと、当会は前回改定時に指摘をしたが、何ら対応は取られなかった。前回改定は公称+0.19%だったが、後発医薬品使用が進んでいないとの理由で、改定率の枠外で異例の600億円減額精算がなされている。我田引水、対応は雲泥の差である。

 

 当然、診療所経営は厳しくなる。今回の中医協医療経済実態調査では、診療所(個人・入院収益なし)の損益差額は過去最大の▲14.5%(▲29.7万円/月)となり、とりわけ内科診療所では損益差額が▲17.4%と壊滅的である。

 厚労省は病院の外来分離に一層の力点を置き始めている。いまでさえ診療所は全国の外来患者の7割を見ており、それにも関わらず医療費は医科の31.0%に過ぎない。相応の経済評価は不可欠である。

 その第一歩として、道理のある誠実な対応、診療所の再診料の2点複元を改めて求めるとともに、厚労省保険局医療課の官僚諸氏には、論点提示は最低限の必然的な作業として求めるものである。

2011年12月9日